従者達の活躍(寝てる間に)
けたたましい警報が暗くなった街に響き渡る、それはタクト達が泊まる宿屋でも例外ではない。
この警報は街の危機を知らせるもの、が、しかしそれを知らなければ関係ないと思う者もいる。
「何ですか?この小五月蝿い音は、これではタクト様が起きてしまうかも知れません!」
「ふむ、どうやら発生源は昼間に行った建物、ギルドでしたか?が原因のようですね」
「虫の、巣?」
「そうそう、あの羽虫がいっぱい居たところ!」
「タクト様が目覚める前に、音の発生源を潰してしまいましょう!」
他の冒険者とはまったく逆の意味で行く事を決めるメロウ達、階段を降りると宿の受付をした娘が居た。
「あ、お姉さん達、良かった今呼びに行こうかと……」
「人間、今タクト様が部屋で御休みです、決して邪魔をしてはなりません、良いですね?」
メロウが告げると、娘はとろんとした目で、まるで夢見心地のように頷く。
「……はい、わかりました、誰も、近づけません」
焦点の合わない目のまま娘は二階に上がって行く。
「魅了ですかな?」
「えぇ、タクト様の部屋には結界を張っていますが、さすがにドアを叩かれたりしたら起きてしまわれるかも知れませんから、念のためね」
娘を門番とする事でより安全にする事にしたのだ。
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メロウ達が向かうことにしたギルドでは、既に多くの冒険者が集まっていた。
「皆さんお集まり頂きありがとうございます!」
ギルド長不在の中未曾有の危機を乗り越えるためアイナが話を始める。
「現在、この街に向かってSランク討伐対象バジリスクの大群が進行してきています!」
ざわざわ、異例の事態にギルド内が騒がしくなる。
「ねぇ、確かバジリスクってCランクじゃなかったけ?」
「あぁ、確かそうだった気が……」
若い冒険者男女二人が小声で話す、すると前に居たベテランの冒険者が。
「お前さんら、冒険者に成り立てだろ?いいか、バジリスクは単体では確かにCランクだ、だが群れを成すとあいつらは猟をするようになる、連携して酸性の毒を吐いて獲物をじわじわ追い詰めていくんだ、だから群れではAランクまで上がる、それがSランクって事はそれだけ大きな群れという事だ」
ベテランの話を聞いて顔を青くする新人冒険者、だが今さら逃げ出すこともできず受け付け嬢の話を聞くしかない。
「皆さんには、街の住民が出来る限り逃避難する時間を稼いでもらいます」
「あ、あの時間を稼ぐって、どれくらいなんですか?」
冒険者が質問する。
「………三刻です」
「そ、そんな……」
一刻は一時間つまり三時間時間を稼ぐと言う事、それは冒険者に絶望を与えた、硫酸の雨の中三時間耐えろとの事なのだから。
「む、無理だ!いくら何でも、お、俺は降りるぞ!」
「俺もだ」
「わ、私も」
冒険者は次々とギルドを出ていこうとする、それを止める事はアイナには出来ない、自分がどれ程残酷な事を言っているのか理解しているから。
「出ていきたい奴は出ていけばいい」
その混乱の中声を発したのは朱の鳥リーダーケイン。
「ただ良く覚えとけよ?一人出ていく度に稼げる時間は減っていく、そしてそのツケはお前らの大切な人に降りかかる」
その言葉を聞き出ていこうとした者達は足を止める、自分の家族、友人、恋人が溶かされ無惨に食い殺される様を見たいものは居ない。
「じ、じゃあどうするんだよ!」
「とにかく時間を稼ぐ、今ギルド長に援軍をお願いしに早馬を出してる、会議の場には他のギルドのギルド長も居る、その人達が来てくれればあるいは……」
「……間に合うのか?」
この場に居る誰もが理解している、間に合わないと、だが口にできる者は居ない。
ケインには他にも策はあるが、その要は今現在この場に居ない、街を捨てて既に居ないか、安全を確保するため隠れているかは分からないが居ない事に変わりはない。
「とにかく出来る限りの準備を……」
アイナが冒険者に準備を促そうとしたとき、禍々しい殺気を放ちながら入り口から入って来る四人が居た、それは果たして希望か?絶望か?
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メロウ達がギルドに着くと昼間には居なかった冒険者達が大勢集まっていた、普通の人であれば何か事件が起きたのかと思うであろう、が、しかし彼女らにとっては有象無象が集まって主の眠りを妨げているに過ぎない、そしてそれは許しがたい事である。
扉を開けて入って来るメロウ達の第一声に注目が集まる。
「………お前か?我らが主の眠りを妨げたのは?」
メロウはアイナを睨み付けながら言う、そこにあるのは明確な敵を排除しようとする意思。
一方聞かれたアイナは何故自分なのか困惑するばかりである、彼女は忘れていた冒険者に話し易いように台の上に乗っていたことを、そしてそれは端から見れば代表者の演説に見える事を。
「ち、ちょっと待ってくれ、いや、くださいメロウさん?」
睨み付けるメロウと睨まれ固まるアイナ、さしずめ蛇と蛙の間に立ったのはケイン、彼にとっては又とないチャンスだった、理由はどうあれメロウ達がギルドに来たのだから。
「ん?誰ですかお前は」
唯一の誤算はメロウはタクト以外の人間に興味がなくケインを覚えていないこと。
「え、いや、えっと、ひ、昼間に」
背中に冷や汗が流れ始めるケイン、それを助けたのは同じパーティーの仲間。
「昼間、タクトくんに助けられた、ケインよ」
「あぁ、タクト様の慈悲を受けた者ですね?」
「ん、エニが、治した」
「そうそう、なかなか死ななかった奴だよね!」
「ふむ、して、そのケインでしたか?が何の用でしょうかな?」
クレアのフォローで何とか繋いだケイン、クレアを見ると目で「確りしてよ!」と言っていた。
「あ、あぁ、じ、実はこの街に魔物が……」
「佐用ですか」
説明の途中でクロノが遮る。
「ケイン殿?一つ言って置きましょう、我々にはそんな事どうでも良いのです」
ケインの目を覗き込む様に見るクロノ。
「我々が知りたいのは誰がタクト様の眠りを妨げようとしたのか」
「ね、眠りを妨げる?」
「そうよ、カンカンと小うるさい音でね」
ケインの問いにメロウが答える、そしてケインはこれがチャンスだと思った。
「じ、実はあれは警報で、魔物が近付いたのが原因なんです」
「魔物が?」
「は、はい、魔物が居なくなればもう鳴りませんが、魔物が近くに居るうちは鳴るようになっているんです」
実際は冒険者の招集用の鐘の音、放っておいてももう鳴ることはない、ケインは一つの賭けに出た、それはメロウ達の知らない事に賭けること、もしも知っていたのならこの街は終わり、知らなければ………
「なるほど、なら魔物を倒せばもう鳴らないのね?」
「は、はい、そうです」
ケインの返事を聞き従者同士で話し合いを始める。
「どうするの?メロウ」
「そうね、鳴らなくなるなら魔物は倒すべきだと思うけれど」
「ふむ、確かに、しかしただ倒すだけど言うのは如何なものかな?」
「どうゆうこと?クロノ」
「フェン考えてみなさい、我々だけなら矮小な魔物ごとき、タクト様をお守りするのは容易でしょう」
「しかし、恐らくタクト様なら街も守れと仰いますわ」
「ん、でもこれだと、得をするのは、ここに住む虫けら」
「そっか、僕達に旨みが無いんだね!」
ケインはメロウ達の話を聞き焦り出す、このままではまずい。
「ま、待って欲しい!」
「何ですかなケイン殿?気安く話し掛けないで頂きたい」
聞く気があるのか無いのか分からないクロノに何とか言葉を出す。
「も、もしも魔物を倒したら、ギルドから報酬が出ます!」
「何かと思えば……」
「待ちなさいメロウ」
「クロノ?」
「少々私に名案があります、ケイン殿?我々には金銭は必要ありません、獲ようと思えばいくらでも方法はある」
「あ、あぁ、そうでしょうね」
「しかし、我々にも早急に必要な物がございます、それをあなたが用意出来るなら力を貸すのもやぶさかではございません」
「少し待ちなさい、クロノ貴方は何が必要と言うの?」
「メロウ考えてみなさい、景観が綺麗とは言えあの様な下等生物の巣窟でいつまでもタクト様に寝起きしていただくのは我慢なりません、貴女もそうでしょう?」
「確かに」
「それに欲しくはありませんか?タクト様に相応しい城を!」
『ッッッ!』
この時メロウ、フェン、エニの心は一つだった「欲しい!」と。
「そして見たくはありませんか?玉座に座るタクト様の姿を!」
再び従者の心は一つだった「見たい!」と、この場にタクトが居たのなら「そんなの要らない!」とツッコミを入れていただろう、従者の暴走を止められるかどうかは別だが。
「と言う訳です、ケイン殿?」
「わ、わかった」
わかったとは言ったが、ケインに城を用意出来る訳はないが、ギルドにも協力して貰えば何とか成るかもしれない、だが念のため保険を掛ける。
「し、しかし、時間を頂きたい、二ヶ月いや、三ヶ月頂けないだろうか?」
「ふむ、そんなにですか?」
「あ、あぁ、タクトくんに合う城を作るんだ、それくらいは掛かる」
直ぐにでなければ恐らくタクトが止める、そうすれば城とまではいかず、家もしくは屋敷で手を打ってくれるはずだ。
「よいでしょう、では三ヶ月以内に用意しなさい、出来なければ分かっていますね?」
「わ、わかった」
「では、我々はこれで」
そう言うとメロウ達はギルドを後にする、残された者達は一様に安堵の息を吐く、中でも直接対峙していたケインの疲労感は大きい。
「ケイン大丈夫!?」
「あぁ、クレア何とか生き残ったぜ」
「そうじゃなく、あんな約束して大丈夫なの?」
「あぁそっちね、平気だ考えはある、それより俺達も準備しよう」
「え?私達も?」
「万が一に備えて俺達も防衛に行くんだ」
「わかったわ!」
他の冒険者も防衛の準備を始める、だが彼らはまだ知らない、それがどんなに無駄な事なのか。
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ケイン達が装備を整え、街の門前までやって来ると、メロウ達四人が居た。
「ん?わざわざ来たのですかな?」
「あ、あぁ、あなた方だけに任せるのも気が引けるのでな」
「左様ですか、では邪魔にならない所に固まっていて下さい、目障りですので」
クロノの言葉にケインは頷くしか無かった、でなければ本当に目障りと言う理由で消され兼ねない。
草原を見つめしばらく、物見台にいた一人から声が上がる。
「き、来たぞ!バジリスクの大群だ!」
「数は!?」
「百やそこらじゃねぇ、せ、千は居る!」
「どうゆう事だ!偵察の話じゃ百ちょっとだったはずだぞ!」
「後から合流したのか」
「まずいわね」
冒険者の間に動揺が走る、当初確認していた数の十倍以上正確には草原に二千のバジリスクが居た、そしてここでメロウ達にも動揺するべき事態が起きた。
「大変だよメロウ!夜明けが近いよ!」
「タクト様が、起きる」
「そうね、急ぎましょう!」
夜が明ければタクトは起きる、そしてメロウ達の所に行くだろう、その際メロウ達が宿に居なければタクトは探しに出るだろう、そんな主に手を煩わせる事を従者は許しはしない。
「じゃあ僕は左端に行くね!」
「ん、エニ、右端」
「では、私は右真ん中を担当しましょう」
「わたくしは左真ん中ですね」
冒険者達にとって驚愕でしかなかった、この状況において協力するのではなく、バラバラに討伐をするというのだ、もちろんケインも驚きを隠せないでいた。
「ちょっ、ちょっと……」
「あぁ、忘れていました」
そう言うとメロウが腕を一振りする、すると地面に線ができる。
「その線からこちら側には来ないように、もしも入って来たなら命の保証は致しませんわ」
「は、はい」
ケインには顔を引きつらせて返事をする事しかできなかった。
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ケイン達が固まっている街の門前から遥か右では、フェンがバジリスクを殴り付けていた。
「うーんやっぱり数がちょっと多いなぁ」
殴り付けていたが正しいか、粉砕していたが正しいか、殴られたバジリスクは跡形もなく消し飛んでいる、残っていたとしても抉られた死体のみである。
「急がないとタクト様が起きちゃうよぉ」
どうするべきかフェンが悩んでいる今尚バジリスクは、酸の毒を吐こうとするがそれは叶わない、バジリスクが吐く前にフェンが殴り飛ばす。
「あっ!そうだ一ヶ所に集めよう!」
足を大きく振り上げ地面に向かって踵落としをする、地面にクレターができそこにバジリスクが落ちるが大抵は踵落としの衝撃で絶命していた。
「よーしこれでどんどん行くぞー」
結果地形が変わるほどにクレターが量産される。
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フェンとは逆方向左端にはエニが居た。
「ん?地震?」
フェンの踵落としによって大地が揺れている、それを気にしているエニの周りは焦土と化していた、エニの頭上には赤々と光る球体が浮いている、球体は高温の炎でできておりそれが近づく物を燃やし尽くす。
「ん………」
近づくのは危険とバジリスク達は学習し遠くから毒を吹きかけるが、エニに届く前に蒸発する、普通の人であれば蒸気でさえ危険だが、エニにはそれも関係ない、そして吐きかけたバジリスクにはエニが指差しただけで炎の玉が飛んでいき焼きつける。
こうしてエニはただ歩くだけで敵を殲滅、周りを燃やし尽くしていく。
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中央向かって右側では、クロノが剥ぎ取ったバジリスクの皮を見つめながら顎に手を当てていた。
「ほう、なかなかによい材質ですな」
バジリスクの皮は硬度があるのにも関わらず、弾力性、伸縮性共によく革鎧を作るのに適していた、強いて難点を挙げるなら剥ぎ取る事が難しい事である、身体に細かくある毒線を避けながら皮を剥ぐのは熟練の技師でも難しい、しかしクロノにとっては造作もない。
「これならタクト様の防具を作るのに及第点でしょう」
そう呟くクロノに向かい一頭のバジリスク突進してくる、クロノに当たる寸前クロノの姿が掻き消える。
「これだけあれば素材には事欠きませんね」
クロノが居た所には首を切り落とされ絶命するバジリスクの死体、バジリスク吐く酸の雨もクロノには当たらず、まるで散歩でもするかの様にクロノは歩いていく。
「それでは狩りを始めましょうか」
クロノが通った後には綺麗に首を落とされ、皮を剥がれたバジリスクの死体が出来上がる。
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クロノが剥ぎ取りをしている場から左側、中央向かって左では、戦闘が行われいなかった、正確には既に終了していた。
「ふぅ、皆時間が無い事を忘れているのかしら?」
メロウが佇み、ため息を吐く場所は氷土と化していた、本来回復専門のエニは攻撃が得意ではない、故に殲滅までに少し時間が掛かる、しかし攻撃魔法全般が得意なメロウには大地を凍らせることも容易い。それに加え朝陽が昇り初めているので早期の決着を望んだのだった。
「しかたないわね、一足先に戻りましょう」
メロウが立ち去った後には物言わぬバジリスクの氷付けのみだった。
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「万が一に備えてなんて言ってた自分を殴りたいぜ」
圧倒的な力を見せられ、絶句するケインを含めた冒険者達。
「ケイン、本当にあんな約束して大丈夫なの?」
「だ、大丈夫だたぶん」
自信の無さげなケインをよそにメロウ達が戻って来る。
「へぇークロノこれで防具作るんだ?」
「ええ、恐らく素晴らしい防具を作れると思います」
「こんな事ならわたくし達も皮を剥いでおくべきだったかしら?」
「ん、全部燃えた」
「幸い手元に有るもので足りると思いますが…」
「まぁ、もし足りなかったら、また探せばいいんじゃない?」
会話を聞きながら(こんな事二度とあってたまるか!)と心の中で叫ぶ冒険者達。
「さて、ケイン殿?」
「は、はい!」
「我々はこれで失礼しますが、くれぐれもお約束お忘れ無きようお願いします」
「ハ、ハイ……」
ただ返事をするしかないケインだった。
「あぁ忘れる所でした、メロウ」
「ま、まだなにか……」
何かあるのかと聞こうとした時、目を疑うことが起きた、先程まで荒れていた大地が元の穏やかな草原に一瞬で戻ったのである。
「タクト様に不安を与える訳にはいきませんからね」
そう言って立ち去るクロノ達の背中を見つめ改めて思う。
「とんでもない奴らと関わりを持っちまったな」
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「あ~………」
朝起きて伸びをする、さすが高級宿寝心地は良かった。
「さて、今日は冒険者初仕事だ!」
ベッドから降りて準備をし部屋を出る、隣のメロウ達の部屋のドアを叩く。
「おはようございます!タクト様!」
「おはようフェン、今日も元気だね」
ノックをすると直ぐにフェンが出てきて元気に挨拶をする。
「他のみんなは?」
「先に下に降りて朝食の準備をしています!」
「わかった、じゃあ俺達も行こうか」
「はい!」
下に降りるとメロウ達が簡素な木のテーブルにテーブルクロスを敷いて待っていた、準備ってこうゆう事か。
「御待ちしておりました、さぁタクト様席へどうぞ」
正直食事がしづらい、周りの人の目が痛い。幸いにもメロウ達も一緒に朝食を食べてくれる、この状態で一人で食べろと言われたら喉を通らなかった。
朝食を運んできた宿屋の娘さんにお礼を言う、すると厨房に戻った娘さんと親父さんの会話が聞こえてくる。
「おい、そう言えば昨日の夜お前どうしたんだよ?」
「え?何が?」
「何がって覚えてねぇのか?お前一つの部屋の前でずっと立ってて、近づいたらすごい目で睨み付けて来たんだぞ?しまいには話し掛けたら近づくな!って怒ったんだぜ?」
「ええ?うーん、全然覚えてないよ、警報が鳴ったまでは覚えてるけど、いつの間にか部屋で寝てたし、妙に頭はスッキリしてるし」
へぇーこの世界にも夢遊病てあるんだ、ストレスが原因って言うし、俺も気を付けよ。
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朝食を食べ終えると今日の予定について話をする。
「今日は昨日話した通り、ギルドの依頼を受けようと思うけど」
「畏まりました、では、急いだ方が宜しいかと、良い依頼がなくなってしまいますわ」
「そうだな、じゃあ行こうか」
宿を出る前に娘さんに今日の予約をお願いする、たぶん暫くはここで暮らす事になるんだろうな。
「はい予約完了です、これからギルドですか?」
「うん、夜までには帰って来ます」
「わかりました、いってらっしゃいタクト様!」
「………」
「あ、あれ!?何で私お客さんの事、様付けで?」
「あ、あはは、メロウ達に釣られちゃったんですかね?」
居たたまれなくなり足早に宿を跡にする、さすがにメロウ達以外に様付けで呼ばれるのは恥ずかしい。
何はともあれ初仕事をしにギルドへ、冒険者の始まりだ!
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