第27話 猫の日
「
誕生日ケーキを食べ終えて、紅茶を飲む冴子さんにそんな話を振ってみた。
「特に猫の日生まれだからってわけでもないけど。そもそも猫の日だって知る前から猫は好きだったし」
「関係はなかったんですね」
猫の日生まれだから猫好きになったわけではないようだ。
「でも猫好きで猫の日生まれなんて、猫を好きなるためにそうなったみたいで運命的ですよね」
「そう? あんまりその辺は考えたことなかったな」
「冴子さんはどんな猫が一番好きなんですか?」
「うーん、黒猫かな」
「黒猫ですか」
「うん。世間的には不吉な生き物扱いだけど、真っ黒な毛並みでしなやかに動いているとすごく絵になるでしょう。かっこいいのに、可愛いくて昔から黒猫好きなのよね」
「確かに黒猫ってかっこいいですね」
何となく冴子さんを彷彿とさせるので、私も黒猫はいいなと思った。黒いスーツを着こなす冴子さんは黒猫に似ている。そんなことを考えながら私も紅茶をすする。
「まぁ、でもやっぱり一番はこっちのネコだけど」
冴子さんにいきなり手を掴まれて、私はびっくりして飛び上がった。
「な、何ですか急に」
面白がるようにニヤニヤ笑う冴子さんと目が合う。
「ネコの
「もう、からかわないでください!」
私は未だにこの手の冴子さんのやり取りにわたわたしてしまう。
(だって冴子さんみたいないい女にこんな事言われて動揺しない方がどうかしてるから)
必死に自分に言い聞かせて頬の火照りが治まるのを待つ。
「奈津って本当、可愛い」
面白がる冴子さんの前で私は照れくささで小さくなるしかなかった。
(でも冴子さんが楽しそうだからいいか)
二月二十二日の夜が更けていく。
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