33.


「かなちゃん! 早く行こ!」




「急がなくてもお店は逃げないよ。」




しゅんと帰る約束をしていた私だったが、しゅんに用事が出来たみたいでまた明日、となった。放課後暇になったのであかりをカフェに行こうと誘ったのだ。




「私、ずっとかなちゃんと行きたかったんだよ! いちごパフェ楽しみだなあ~!」




私、いちごが苦手だからモンブランとかないかな。チーズケーキでもいいな。




カフェは駅にあって、私たちの高校から近いところにある。私もお金持ちの仲間入り(?)をしたのでお迎えが来るようになったのだが駅に迎えに来てもらうように頼んだ。




「あ、あのピンクのクッション可愛いなあ。 ……あれ、しゅん?」




あかりの視線の先を見ると確かにしゅんがいた。私たちと同じ店ではなく向かいのパスタが美味しいお店。




(かわいい女の子と一緒だ……。)




しゅんがモテるなんてこと分かっていたが実際目にすると辛い。それにしゅんが好きだってもう認めてしまったから。私が遅かったのかな。もしかして朝のは冗談だったの……?




「かなちゃん?」




「え? あ、どうしたの?」




「席空いたみたいだから行こ?」




「あ、そうだね。」




店員さんに案内され私たちは着席した。オシャレなカフェだなぁ。




「かなちゃん、私聞きたいことがあります。」




「どうしたの? 改まって。」




「かなちゃんはしゅんのことが好きなの?」




「んぐっ、へ!?」



口に含んだ水を思わず吹き出すところだった。




「だって、かなちゃんさっき泣きそうだったから……。それに中3になってからしゅんのことハートの目で見つめてた。」




わ、私そんなに前からしゅんのこと好きだって思ってたの!?




「私、しゅん殺してくる! かなちゃん悲しませるなんて許せない!」




「だ、大丈夫だから! 私がしゅんを好きなのは本当だよ。でも、あんな笑顔なしゅんみたらかなわないって思っちゃったの。」




「かなちゃん……。」




前にいた女の子すごく可愛かったし。しゅんもあんな可愛い子が好きなのかもしれない。はぁ、私ってなんでいつも遅いんだろう。




「お待たせ致しました。モンブランといちごパフェです。」




「え、いつ注文したの?」




「んー? さあ?」




あかりってば何したの……? それに他の人より飾りが豪華なんだけど。




「お兄ちゃんの会社の1つなんだよ。だから、先に注文してた、てへ?」




かわいいけど!! あかりのお兄ちゃん凄いな、しかも会社のひとつってことは他にもあるって事だよね。あかりの家ってちょっとミステリアス……。




「ん、おいしい……」




「でしょ!? かなちゃんがモンブラン好きだからメニューに絶対入れてってお願いしたんだよ!」




あかり……。私、感動しすぎて泣きそう……。



✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼



【明日は一人で行きます。しゅんも気にしないで好きな子と行ってね。】




「送信、っと。」




唐突過ぎたかな? でも、こう言わないとしゅんは絶対私の事からかおうとするし。しゅんのこと諦めることなんて出来ないかもしれないけど応援はしたいんだよ。相手の女の子恨んじゃうかもしれないけど。しゅんには幸せになって欲しいから。




【は? 好きな人ってどういうこと?】




しゅんから返信が来た。




【ごめん、放課後女の子と一緒にいたの見ちゃって。】




このメッセージに既読は付いたが返信が来ることはなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

美少女な幼馴染がいるのになぜか攻略対象(仮)が私に寄ってくる ふらわあ @flow_ers

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ