32.
今日は高校の入学式だ。みんなに会ってから3年も経ったなんて信じられない。中一の夏にはみんなで言っていたプールに行った。貸切だなんて初めての体験だったよ。でも、あの時は本当に悲惨だった。私の日頃の行いが悪いの? っていうくらい。事故でしゅんに胸を触られ、ひなたくんに揉まれ……。東堂なんか自ら私の後ろに回ってきて揉んできた。恥ずかしいのか、怒りなのかは分からないがその時号泣してしまった。泣いた時にも悲惨なことが起こった。着ていた水着の紐が突然切れたのだ。もちろんみんなに見られてしまった。でも、しゅんが視線を逸らしながら上着をかけてくれたのだ。元々かっこいいと思っていたけど神に見えた。さすがしゅん様。みんな、気になっているだろう、しゅんとのキス事件。あの後、私は気絶してしまい、話はうやむやになった。
って、誰に説明してるんだろう私。
「姉ちゃん、スマホ忘れてる」
「あ、ありがとう。ってゆらも忘れてるじゃない。……中学でスマホ持って行けるって珍しいよね。」
「はぁ? 姉ちゃんも持っていってたじゃん。てか、遅刻するよ?」
「やばっ、いってきます」
後ろから行ってらっしゃいの声が聞こえた。たしか、3年前はまだゆらに出会ってなかったよね。実は中学を卒業する前にお父さんが亡くなった。亡くなったのは私が中学一年生のときのこと。たしかすごく寒かった日だ。出張から帰ってくる時に利用する飛行機が墜落したのだ。その時のお母さんの荒れ方は大変だった。だから、私は冷静にいられたのかもしれない。お母さんは最初は再婚なんてする気はなかったと思う。でも、今のお父さん、#一__はじめ__#さんがお母さんに猛アタックしたのだ。最初はお母さんをそっとしておいて欲しいと思っていたが一さんのおかげでお母さんに元気が戻ったのだ。毎日、この世の終わりのような顔をしていたけれど一さんのおかげで少しずつ笑顔が戻ってきた。お父さんを裏切るみたいで嫌だと悩んでいた時期もあったようだが、私の後押しもあり、私の卒業と同時に入籍した。実は一さんすごくお金持ちだった。お母さんがお父さんと駆け落ちする前は婚約者だったというから驚きだ。一さんは十年以上の間お母さんのことを思っていたのだ。これは応援するしかない。そのおかげでお母さんの実家からの支援も出た。また顔合わせをする予定だ。お父さん、私お父さんの分もしぶとく生きるから見守っていてね。
一さん、一応結婚しており、ゆらと言う息子までいたのだか離婚してしまったらしい。お母さんのことが忘れられなくてそれを察した奥さんに別れを告げられたそうだ。ゆらは最初、口を聞いてくれなかったのだが、焼いたクッキーをあげると懐いてくれた。単純な子だけどすごく可愛がってある。ちなみに花京院くんの弟の翼くんと同級生だ。2人はすぐに仲良くなったようで週末よく遊んでいる。最近は漫画を2人で読んでいるそう。と、まぁ私は一さん達が新しく建てた家に引っ越しをしたのだが、それがなんとしゅんの家と近所だったのだ。
「かな、行くよ。今日は歩いて行きたいんでしょ?」
「うん、ありがとうしゅん。」
まぁ、そうなるよね。一緒登校してます。高校は公立高校を受験するつもりだったんだけどまた金持ち学校に入れられてしまった。それに伴い、トップ4やあかり、れいなも同じところに通うことになった。あかりって本当何者なんだろう。
「かな、好きだよ」
「へっ?」
「中一の時告ったのにかなってば気絶したでしょ? 俺、結構根に持ってるからね。」
そう言いながら私の手を握った。なぜ私の手を握るの。
「正直言うと付き合いたい。かなって可愛いから他の人に取られそうで怖いし。でも、気長に待つよ。」
私は直ぐに返事が出来なかった。でも、私も……
「しゅん、私もしゅんのこと」
「あら、かな私と一緒に学校へ……ってしゅんもいましたの?」
「れいな! なんで今なの!? 俺とかなが大切な話してたのに……」
「大事な……? それは申し訳ございませんわ。それで車に乗りませんこと?」
「乗る」
私はもうやけくそになっていた。人生で初めての……って私今勢いでしゅんに告白しようとしてた!?
「かな、話の続きは放課後聞くから。2人っきりで。」
「う、うん」
れいなは不思議そうに私たちを見ていたが私が話題を変えたのですぐ忘れてくれそうだ。私、放課後にしゅんに……。緊張する。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「えっ……」
隣であかりが絶望した顔をしている。それは私がする顔だと思う。
「私……ぼっち。」
こんなにいて、私だけぼっち、しかも他のみんなは同じクラスってどういうこと? 辛い。
「高橋サンどんまいやなー!」
「俺、かなと同じクラスがよかった。関西弁野郎と同じクラスとか死んだ方がマシ」
「私もですわ。お金でクラス変えてもらおうかしら。」
「もう死ぬ。生きていけない。」
「休み時間でも会いに行けばいいだろう。」
「かなちゃん! お昼は一緒に食べようね!」
みんな優しい。お昼は一緒に食べてくれるようでとても嬉しい。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
隣に美少年がいるのですが、これはまた攻略対象なのでしょうか。それに私すごくガン見されてる。
入学式も終わり今は担任の先生から諸注意などを聞いている。そのときずっと見られているのだ。
「以上。解散だ。明日、自己紹介と委員会決めをするから考えておいてくれ。」
自己紹介だなんて私が1番苦手なやつ……。
この後、しゅんに告白だ、と思っていたが用事で一緒に帰ることが出来なくなったようだ。明日でもいいよね!
その考えはしゅんが女の子と楽しそうに笑っているのを見てから間違いだったことに気づく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます