31.
「ごめんなさいね、しゅんくん。」
「全然いいですよ。俺もかなと行ける口実出来て嬉しいし。」
今日は3日ぶりの学校だ。昨日の時点で退院はしてたけど、安静にということで一応お休みした。
そして、今日。何故かしゅんが迎えに来た。あかりだったらわかるんだけどね? 生憎あかりは熱が出てしまったらしい。それにお母さん馴染みすぎ。
「かなー、いこ! 早く行かないと遅刻するしね。」
お母さんが、車で送ってくれると思っていたから麻ゆっくりしていたのに。いまから歩いても間に合わない。
「……お願いします」
「はーい」
車に乗りこみ、しゅんが私の隣に腰を下ろすと車が動き出した。あかり大丈夫かな。
「大丈夫だと思うよ。元気だけが取り柄だからね。」
たしかにそうだけど……。でも、あかりは完璧美少女だから元気だけが取り柄でもない気がしてきた。昨日、あかりは私と久しぶりに学校に行けると喜んでくれていたのに、残念だよ。
「さびーの? 俺がいるのに?」
「ねぇ、さっきからなんで私の手握ってるの?」
許可した覚えないんだけど。
「寂しそううだから」
「じゃあなんで私の髪の毛触るの?」
「かながかわいいから?」
その言葉を聞くと同時に私はしゅんの腕の中にいた。
「かなって小さいよね。ほんと可愛い」
それって喧嘩売ってるの? 背低いの気にしてるのに……。毎日牛乳飲んでるんだけどなあ。そういえばしゅんって背高いよね。分けて欲しい。
「そんなに見ないで。照れる。」
そんなに見てるつもりなかったんだけど。そう答えるとおでこにちゅっとキスされた。
「うぇ!? しゅんいい匂いする」
って、私が余計なこと言った!? これだとしゅんと同レベルだ……。
「いや、あの、ちがくて……んっ」
い、いいいましゅんにキスされた……? しかも唇に。私は状況を処理できず気を失ってしまった。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「んぅ……あれ、車?」
「おはよ。そんなに眠たかったの? それに俺の名前呼んでてすごく可愛かった。」
え、もしかして全部夢? 私本当の変態だよ。でも、キスされた感覚がのこっているのは何故だろう。
「夢の中で僕と何してたの?」
「な、なにも」
「かおまっか。変なことしてたんでしょ」
あれ、しゅんってこんなにかっこよかったっけ?
「ん?」と傾げるしゅんだがそれさえもかっこよく見える。
「しゅんがかっこいい……?」
「え?」
「あっ……なんでもない」
夢の中です同じような夢を見たんだけど……? これは黙秘するべきだよね。
「俺にとってはかなは毎日可愛いよ。それに最近もっと可愛くなってる。クラスの男もカナのこと変なめで見るし殺したくなる。」
ちょっと…? あなたれん化してません?
それに男の子が私を見てたのは可愛いあかりに近づくなってことだよ。
「ずっと我慢してるのにそんな可愛いこといわれたら我慢出来なくなる。」
我慢ってなんの……? 私、しゅんに無理させてたの?
「ごめん、しゅん。私気づかなくて。もう我慢しなくていいから教えて?」
「はぁ、しんどい」
「え、熱? あかりの移ったの?」
「俺、かなのそういうところ嫌い。」
ごめん。そう言おうとすればしゅんに口を塞がれた。もしかしてこれも夢……?
「さっきのも夢じゃないよ。かな、すきだよ。俺だけを見て?」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「きゃー!! しゅん様イケメンすぎ!」
「これってゲームなんじゃないの? 途中から選択肢さえ出てこなかったじゃん。」
「そうなんだよね。設定的にはかなは昔事故にあって植物状態になったの。でも、奇跡的に戻ったって感じ。」
「植物状態って戻るの?」
「わかんない。ゲームだしいいんじゃない? しゅん様とかな、実は昔会ってるんだけどそれに気づけないんだよ。可哀想だよね。それに一部記憶喪失でね、どんどん思い出していくの。」
「へー。主人公大変すぎない?」
「それだからいいんだよ! そんな環境でも頑張って生きていくんだよ! 」
「顔の時点で勝ち組だけどね。」
「まぁね。」
「次、高校生編やろ。多分バグって私操作出来ないけど」
「ゲームじゃないじゃん。アニメ見てるみたい」
2人の少女はもう一度ゲームの電源をつけた。
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次高校生編です! 主人公が事故にあったのは察した人いたでしょうか?笑
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