9.

「嘘でしょ……」


朝スマホを見るとあかりとれいな、水瀬くんからLimeがきていた。水瀬くんからは【迎えに行くね~】残りのふたりは一緒に行けなくなったという連絡だ。


「あかりは日直、れいなは委員会会議が急に入ったのか。昨日教えてくれたら……」


水瀬くんは私が関わっていい人ではない。お金持ちだからとか権力があるからだとかそういう理由ではなく。それはれいなにも言えることだし。私が関わりたくないと思う理由それは……水瀬くんのファンが怖いからだ。水瀬くんは美形なのでもう噂になっていてもおかしくは無い。上流階級の人達ならパーティとかで知り合っているのではないか? と私は思ったのだ。それに水瀬くんに本気で恋してる人だって少なくないはずだ。


「あなたかなの彼氏なの?」


「いえ、僕の片思いなんです」


「こんなかっこいい知り合いがいたなんてねぇ」


一緒に行けなくなったとLimeを送ろうとしていたらもう家に水瀬くんがいた。しかもお母さんと仲良くなってるし!


「やっと起きたの? しゅんくん待ってるからはやく着替えてきなさい」


私は顔を洗い急いで着替えた。私待つのはいいけど待たせたくないのに。それにこんなに早く来るなんて聞いてないよ


「お、おまたせ」


「僕が早く来すぎたよね」


本当にそうだよ。私が起きたのは7時。水瀬くんが来たのは7時前だ。昨日何時に集合するか決めてなかったので早く来てくれたらしい。お母さんがゴミ出しの時に家の前にいるイケメン(水瀬くん)を見つけ、家に入れたようだ。


「ねぇ、かな」


「?」


「かなは僕から離れていったりしないよね?」


「仲良くしてくれてるし水瀬くんが私を嫌わない限りはずっと一緒かなあ」


あれ、ちょっとプロポーズみたいになっちゃった。でも、仕方ないよね。泣きそうな顔してそんなこと聞かれたらあなたと関わりたくないんです! なんて言えない。もしファンにいじめられても頑張って耐えよう。私には3人の友達がいるんだし。


「お母さんいってくるね」


「2人とも行ってらっしゃい」


「お茶ありがとうございました」


唐突なんだけど、水瀬くんって腹黒そうなんだよね。営業スマイルなんてできて当たり前なのかもしれないけど水瀬くんは本当にずっとニコニコしてる。だから、少し苦手に思えてたのだけど。


「水瀬くんが本当の笑顔見せてくれたらいいんだけど……」


え、あれ、声に出てた?

水瀬くんの顔から一瞬笑みが消えたかと思うと急に抱きしめられた。えぇ?


「かなのこと、本当に好きだよ」

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