3.
「高橋さん庶民でしたのね」
「そうだよ。相澤さんがお嬢様なんだね。はじめて出会ったよ私。」
金持ちの知り合いなんて初めてだ。周りは私と同じくらいの家庭の子ばっかりだしね。
「えぇ。それより……」
何故かモジモジしだした相澤さん。顔を赤くしてるけど私が不審者だったら誘拐してるよ。ほんとに。
「れいな、って呼んで下さらないかしら? ……い、嫌だったらいいんですの!」
「れいな、私のことはかなって呼んでね。あ、ここで大丈夫だよ。送ってくれてありがとう。また明日ね。」
「い、いえ! また明日」
小さく手を振ってくれた。うーん、普通にいい子なのかなあ。ちょっと悪役令嬢だったり? とか思ったんだけどそんな感じしないな。ちょっと気が強いだけで、ツンデレなのかな。私にも優しくしてくれてるし。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
翌日。私が異世界から戻ることはなかった。でも、異世界という実感はまるでない。剣や魔法の世界ではないし、何より私の家族がいるから。それが不思議なんだよね。
異世界から戻れてないと思ったのには理由がある。外に出るとれいながいたからだ。あかりではなくれいなが。
「待っていましたわ。一緒に行きましょう?」
「あれ、約束してた? ごめん待たせたよね」
私待つのはいいんだけど人に待たせるのは苦手なんだよね。本当申し訳ない。
「友達なら登下校は当たり前ですわ。」
そんなの初耳なんだけど。
「歩いていかない? れいなともゆっくり話したいし。」
「それなら仕方ありませんわ。清水」
「はい、いってらっしゃいませ。」
中から執事らしき人がでてきた。この人もイケメンだ。イケメン恐怖症になりそうだ。やっぱり金持ちと庶民は違うんだな。
道は清水さんが案内してくれた。私が道を覚えてるか不安だとれいなに伝えたからだ。
「清水さん急にすみませんでした。ありがとうございます。」
「いえいえ、それより帰りはどうなさいますか?」
「車でお願い。えっと……かなも」
「いいの? ありがとう」
一緒に帰るのはいいんだけど毎回送って貰うのは悪い気もする。しかも出会ってそんなに経ってないし。手作りクッキーでも渡そうかな。口に合うかどうか分からないけど。なにもしないよりはいいよね。
後ろで昨日聞いた黄色い歓声が。振り返るとそこに居たのはあかりとイケメン四人たち。そこから一人の男子とあかりが私たちの元へ走ってきた。
「あれ? 昨日あかりといた子だよね? なんでれいなといるの?」
質問の多い人だな。それより誰ですかこのイケメンは。二日でファンできたの? あかりに見つめられたがなんとなく気まずくて目線を下に落とした。
「私のいとこの水瀬しゅんですわ。」
「よろしくね~」
よろしくしたくないんですけど。イケメンと関わったらダメなんだってば。とりあえず無言で頷いた。こんな美形に挟まれてたら私の顔なんか点だよ。線かもしれないけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます