第14話

 演劇は、私を巻き込んだまま、進んでいった。


 女子生徒の視線が、いたい。さっきまで聞こえていた黄色い声が、やんでいる。


 私の立ち位置。彼がうまく調整して、いつも私を隣に置いた。彼の指す方向に、私も移動する。彼が台詞を振ってくると、なんとかして、ない頭をふりしぼって即興台詞アドリブを言う。


 上から、ミサイルが降ってくるところに差し掛かった。


 ミサイルが降ってきて、みんなにダメージが入る。


「みんな退がれっ」


 私の脚本では、主人公のこの台詞で、みんなが袖に逃げて、主人公ひとりになる。


 みんなが下がっていく。わたしも、舞台脇に下がった。


「なんでミサイルが」


 彼の一人芝居。


「私のミサイルを、たのしんでいただけたかな?」


 観客のほうから、声。


「おまえはっ」


「君の恋人だよ」


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