interlude 2 奪われた脚本の行き先

「あ。おうい。こっちこっち。モデルの少年」


「持ってきました」


「よしよし。じゃあ、君にこれを渡そう。新しい脚本だ。24部ある。これにしたがって、演技せよ」


「これで、ほんとうにいいんすか。あいつ、ひっしにこの脚本に書き込みして、それで作ってきたんですよ」


「だからこそよ。ひっしに、がんばって、認められようとしてやるのは、商業の演劇。私の演劇じゃない」


「知ってますよ。いつも見てますから」


「なら、分かるでしょ。私が書いたものでなくても、私が関わる以上、やさしく、暖かい演劇にするわ。あなたにも手伝ってもらいます」


「わかってますよ。それより。あいつの。あいつの好きなひとの、ほうは?」


「めちゃくちゃばっちりよ。うちの演者が、直々に仕込んだからね。もういちころよ」


「わかりました。くれぐれも、忘れずに」


「さあ行きなさい少年。開演の時間だっ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る