第6話

 夜。


 私の好きなひとに、連絡をした。


 学校の出し物について、おはなしがあります。それだけ文字に打って、送信。


 私の好きなひとなら。


 私が、どんなにだめで、いくじのない人間か。分かってくれる。


 返信が来た。


 と思ったら、通話だった。


 慌てて取る。


『ごめん。時間とれなくて。電話でいいかな。手短に』


「うん」


『出るよ。なんとかして、時間つくって、おれも出る。君が書いたんでしょ、なら、出なくちゃ』


「え」


『じゃ、ごめん。いま撮影中だから。脚本はあいつからコピーしてもらうから。じゃ』


 電話が切れた。


 これで、後ろに退けなく、なってしまった。

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