015
綾香ちゃんは焦っている。それには早い段階で気づいていた。
しかもそれが私のせいであることも。
私のせいで綾香ちゃんはどんどん傷ついていく、しかし今起き上がったら涼しい顔で大丈夫だと言うのだろう。
何があればそこまで冷静でいられるのか、平静を保てるのか、そう考えるが私には分からなかった。
ただ、綾香ちゃんの優しさだけが痛いほど伝わってくる。
そういえば綾香ちゃんがいじめられてる姿を一度だけ見たのを思い出した。
最初はなぜいじめられてるのか気になった。でもその疑問を口にすることができなかったのだ。
次の標的が自分になるのが怖いから。
それからというもの彼女のことを見て見ぬふりをしてきた。
居ないものとして扱っていた。でも、彼女はそんな私にも手を差し出すのだ。
痛い、心が。
異体、そんな彼女が。
言いたい、ごめんなさいと。
こんな思いすら、想いすら言えない私が嫌いだった。
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