004
次の日学校で隣のクラスの神山結と言う女子生徒が行方不明になったと風の噂が来た。
私の周りでは、家出だとか他にも卑猥なことしてるとか下品な話をしていた、だが私にはどうでもよいことだったし変に何か言ってまた周囲に叩かれても嫌なのでとりあえず関わらないようにしておいたのだが、どうやら周りでは私が何かしたのでは? と言う輩が現れていたらしく放課後になって教師からしつこく詰め寄られていた。
違う、私じゃない。私は何も知らない。
何度も言った、何度も何度も。
聞いてくれないのは私の評判が悪いからなのだろうか、
本来生徒を信じるべき教師からでさえ嫌われ、疑われる。辛い、涙を流そうかともしたが水一滴たりとも私の目からは流れ落ちなかった。それほどにまで私は人間らしい感情を失い始めているのだろう。
感情が麻痺し始める自分に嫌悪感を持ちながら教師の言葉攻めを受け続けるしか今の私には選択肢が無いのだ。
やっと証拠不十分で解放され時計を見ると既に四時五十五分と放課後になってからかなり時間が経過していた。仕方なく、行くあてもなく、逃げるかのように、私は部室へと足を運んだのだった。
部室のドアを開ける。
机の上にはそこに居るのが当たり前かのように幽霊が出迎えた。
「先輩、遅いですよ。待ちくたびれちゃいました。」
後ろに見える空の色はとても、そう、血のように真っ赤だった。
「これはどういうことかしら、何か新しい嫌がらせ? 」
私は呆れながら、目の前にいる幽霊に言った。
「いえいえ、私が先輩に嫌がらせをするわけないじゃないですか。どちらかと言いますと何故かこちら側に来てしまった先輩をお迎えに上がるために僭越ながらこの私が来たと言う訳ですよ。」
「ということはここはもう七不思議の中ってことでいいのかしら? 」
「はい、そうですね。ささ、先輩急ぎましょ。死神の放送が鳴る前に。」
本日の犠牲者は、千鳥野綾香、神山結。ご冥福をお祈りします。
「あー、間に合いませんでしたね。先輩どうしますか? 多分このまま元の世界に戻られると恐らく怪死しますよ? 」
「いや、そもそも今の放送を聞いた時点でここからすぐに出る気は失せたわ。」
「失せた、と言いますと? 」
「舞台裏である怪異の世界に迷い込んだ人間を。スポットライトの当たる舞台上の現世に戻す。それが私の仕事だから。」
私は言った。
例え相手がどんな人間だろうとも、仮に私をいじめた人間だとしてもこの世界に足を踏み込むべきではない。この世界に長く浸り続ければ次第に正気を失い最後は、壊れる。
私は一度壊れた人間を見た。あんな風にはなってほしくない。幸い今日と言う時間はまだあるわけだし。
「一人で助かるのと、二人で助かるのと、労働力に大差は無いわ。」
「さすが先輩です。それじゃあ私も先輩のお手伝いはしますよ。」
要らない。
「あ、今要らないって顔しましたね。これでも私ポルターガイストのスキルを持っているので物を動かしたりできるんですよ。」
この幽霊は意地でも私に協力したいらしい。
「それで先輩、まずはどこを探しますか? 」
「職員室かしら、神山結がどんな人物なのか分からないとどこにいるか分からないし……いっそ手分けして行動するのは? 」
「構いませんが、何かあってもすぐにそちらにいけませんよ。」
「私を誰だと思ってるの? 一応祓いぐらいは出来るわ。」
「……そうですか。では私は職員室で神山さんとやらの情報と図書室で七不思議についての情報を探しておきますね。」
彼女はそう言い終えるや否や部屋を飛び出していった、やっと行ったか。
さてと、私は神山結の在籍していたクラスに向かってみることにした、そこでもしかしたら情報が何かあるかもしれないから。
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