帰窓






微睡むような温みと揺れに

身と心を委ねて



海が広がる車窓

流れる景色に過ぎ去った日々を

見送りながら帰る道すがら



髪をくすぐる春の海風

手を伸ばせば触れられそうな

蒼い空と山の木々



心の手を広く伸ばして

ゆっくりと息を吸えば

舞い戻る感触



春の柔らかさに

「ただいま」と

声にならない声で囁けば



聞こえない声で口遊むような

笑い声が聞こえた気がした














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