日常の崩壊3

結城は俺のそばに近寄り酒呑を睨み付けていた。


「お前、偉人だな?さっきのあいつの仲間か?」

「ん〜?あ〜!もしかして茨城童子のこと?そうだよ〜。君は彼女から逃げてきたの?」

「まぁな。傷つけたら逃すって言われたから傷をつけただけだ」


この言動を聴いてるとどうやら結城のクラスにも偉人が現れ、結城はその偉人に一撃を与えたらしい。その事を聞いた酒呑はやるねぇ〜といいながら笑っていた。


「茨城に一撃を与えた君はどんな味がするのかなぁ〜?」


涎を垂らしながら酒呑はそう言った。


「慎也、立てるか?」


「あ、ああ」


俺は結城の手を借り、立ち上がるとそのまま結城は俺の手を強く引っ張りだした。


「逃げるぞ!あいつらに捕まったら終わりだ。それに今は武器がない!茨城に一撃を入れるときに教室にあった竹刀が壊れちまった!」


「はぁ?じゃあどうすんだよ!」


「走りながら考える!」


俺らが走り出すと酒呑は追っては来ず、教室に戻っていった。多分だが他のクラスメイトを先に食べる気なんだろう。だがこんな状況だ俺は他の人の心配をしてられなかった。心の中で謝りながら俺は逃げるために結城とその場を後にした。


俺らは階段を降り、校舎を出て校門を目指していた。このままいけば何とか逃げれそうだったが校門の前に先ほどとは違う鬼がいた。赤い髪を簪で縛って着物をきている鬼が待っていたのだ。


「やぁ!先ほどはどうも!良い一撃だったよ」

「てめぇ!俺らは逃げて良いんじゃなかったんか!」


結城はそう叫んだ。多分この鬼は茨城童子。結城のクラスを襲った鬼だ。


「あはは。やだなぁ〜。僕は君に今は見逃してあげるよ?って言ったんだよ。もう君たち以外あそこのクラスにに生きてる人はいないしね。今度は君たちの番って事だよ」


腐っている。こいつらは元々俺らを逃す気なんてなかったんだ。俺は少しでも反抗しようと構えるが結城は何もしなかった。後ろから酒呑は追いつき、だんだんと近づいてきた。

「・・・・・っわかった。だが慎也は、深夜だけは逃してくれ!俺ならどうなっても良いから」


「!?何を言ってるんだよ!結城!なら俺が犠牲になるからお前が逃げろ!」


おれがそう叫んだが結城は俺の腹を思いっきり殴り、俺はその場で倒れてしまった。


「ん〜?どうする?茨城?」

「まぁ良いんじゃないか?僕はお腹がいっぱいになりそうだし」

「そうだね〜。良かったねキミ、キミの親友のおかげで生きられるんだよ」


酒呑は俺の頭を撫で、茨城と酒呑は結城の方に歩いていった。俺は痛みに堪えながら立ち上がり、結城の元へ走りだした。


だが茨城と酒呑は結城の腹を殴り、二人の腕は結城の腹を貫通させた。結城は口から血を吐き出しゆっくりと倒れた。俺は直ぐに結城の元に近づき手を握った。


「お前!なんで、なんで俺を置いて逃げなかったんだよ!俺なんかよりお前が生き残った方がいいに決まってるだろ!」


俺が涙を流すと結城はもう一つの腕で俺の顔を触った。手はだんだんと冷たくなっており俺の頬は結城の血で濡れていた。


「そんなこと言うな。お、れはお前が生きるべきだと思ったから自分を犠牲にしたんだ。むかしか、ら思ってたんだ。お前は普通で普通じゃない。誰よりも身内を信頼し、疑わない。絶対にお前には力がある。だから、だからいつか俺の敵をとってくれ」


結城は泣きながらそう言い残し目を瞑った。そして手は俺の頬から離れた。結城は俺を庇って死んだ。平凡な俺を庇って死んでしまった。力もなく、勇気もない俺を庇って死んだ。


『悔しいか?自分のせいで死んでしまい、自分の無力さが憎いか?』

頭の中で突然誰かが語りかけてきた。


『もういちど聞く。悔しいか?』


・・・・ああ、悔しいよ。自分に力があればと何度おもったか。


『復讐する力が欲しいか?友を殺した者を殺す力が欲しいか?』


ああ、欲しいとも。このクソみたいな偉人を殺す力が。


『ならば俺の力を受け取るが良い。そしてこの力を仲間を守るための力として使え!叫べ!唸れ!そして弱い自分を解放せよ!』


「ねぇ。邪魔なんだけど。はやくそれから退いてくれない?」

「じゃま〜。食べれない」

酒呑と茨城の一言を聞き俺は頭の中で何かがプツンと切れる音がした。


「うあああああああああああああああああああ!!」


俺の周りに影が現れ、俺の周りに球体になる様な形になった。数分後、球体に割れ目ができバキバキと球体は壊れていった。


「やっぱり〜きみだったか。」

「?どう言う事だい酒呑?何か知ってるの?」

「いやね〜彼からは僕たちと同じ匂いがしたんだよ〜」

「て言う事はこいつ偉人か!」

二人は警戒し始め構えを取りはじめた。


球体は完全に割れ中から慎也が現れた。先ほどまで着ていた学生服は消え代わりに18世期のヨーロッパにありそうなコート、シャツ、ズボンを着ていた。手には2本の黒い短剣を持っており、右の短剣には赤い線、左の短剣には青い線が入っていた。黒かった神は白く変色しており所々黒が残っていた。慎也は近くに倒れてる結城の死体を少し移動させ短剣を構えた。


「てめぇら二人ともぶち殺してやる!」
















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パンドラの交響曲 レイ @rei12151

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