日常の崩壊1

 俺、影山慎也かげやましんやは普通の高校生だった。 両親もおり、偏差値普通の高校に通い平凡な生活を過ごしていた。そしてこれからもこの平凡な人生を生きると思っていた。


 この日までは。


 それは数時間前に遡る。

 俺はいつも通りの時間に起き朝食をたべ、通学路を歩いていた。


「よ、慎也。今日の調子はどうだ?」

「・・・よう。調子はまぁまぁだ」


 この朝からテンションの高い奴は新山結城あらやまゆうき一応俺の親友である。ガッチリとした体型をした爽やかイケメンである。華奢な体で陰キャな俺とは間反対である。こいつとは幼なじみであり昔からよく遊んでいた。


「そういや今日だな遺伝子結果」

「あ〜そんな物あったな。まぁ俺みたいな平凡には関係ないことだ」

「ははは。まぁそうだな。偉人の生まれ変わりじゃない事を祈るしかないな」


 そう今日は高校生が一番気にする日遺伝子結果の返却日である。この結果によっては人生がイージーモードからハードモードに変化してしまう。


 もしも自分が偉人の生まれ変わりになると『パンドーラ』と言うゲームに強制参加させられる。このゲームを抜けるには一つだけ方法がある。20人の別の偉人を。20人を殺すとその偉人には願いを叶える事ができ、その中には金、敵の場所、そして自由などもある。


 まぁ結城にも言ったが俺みたいな平凡な奴が偉人な訳がない。偉人になる確率は極めて低いため、そこまで心配しなくて良いだろう。

 いつも通りの通学路を進み俺らは何も異常なく学校に着いた。靴を上履きに履き替え、3階にある自分達のクラスに向かった。


 クラスの扉をゆっくりと開け、俺は自分の席に静かに着いた。俺はいわゆるぼっちだ。結城とはクラスは別のためあまり離さないがこのクラスで俺に話しかける者はいない。話すとしても最低限の事だけであり用事が終わるとみんな何処かに行ってしまう。だが別にこの生活に不便さを感じたことはない。友達に誘われないから無駄な時間を使わずに済むし、金も自分の為だけに使える。


 これほど良いことはあるのだろうか?


 結城とは長い付き合いだから時間を使うのはいいがあまり知らない人たちに金や時間を使うのは無意味だと俺はおもっている。たとえ友達になったとしてもそれはただの友達だ。自分の事をちゃんと知ってる親友じゃない。


 そんな事を考えていると学校のチャイムが鳴り始めクラスメイトは席に座り始めた。先生が教室に入ってきたらいつも通りの出席確認を終え、遂に遺伝子結果の返却は始まった。段々と近く俺の番に緊張し俺は少し震えていた。


 (もし俺だったらどうしよう、もしそうなら俺はこれから20人を殺さないといけないんだ、そんなの嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だお願いします神様俺が偉人でありません様に)


 心の中で動揺しまくりの俺に二件のメールが来た一人は結城だ。メールはこう書かれていた。

『俺は大丈夫だったぞ。安心しろ、お前も大丈夫だ。今頃お前は緊張してるだろうから落ち着いて深呼吸してろ』

 このメールを見て俺は少し落ち着きを取り戻した。そうだ、俺は平凡な学生だ。俺に限ってそんな事はないだろう。


 遂に俺の名前が呼ばれ俺は席から立ち上がった。ゆっくりと教卓に向かっているとある事を思い出した。先程結城の他にもう一つメールが来ていたのだ。俺は確認だけしとこうと思い携帯を開きメールを確認した。差出人は不明と書かれており一行の文が書かれていた。



 


 次の瞬間俺らのクラスに外からガラスを割り何者かが進入してきた。見た目は人間と変わらず黒い髪を簪で縛り着物を着た彼女は立っていた。だが人間とは違うものを持っていた。それは角である。額から二本の角があったのだ。それはまるで昔存在した鬼の様な角が。


 俺は誰だが知らないが一つだけ分かった事があった。直前に見たあのメール。そこに書かれていた一文。そして窓から現れた角を持つ女性。


 

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