第24話 魔法勝負

「凍テツク壁ヨ」


そう詠唱されると氷の壁が出現し炎の龍爪が相殺される。


蒸発して発生した霧で満たされて視線が切れてる間に距離を詰めて魔力のブレードで気配があるところを切るが感覚がない。


魔力による分身か。そう理解した瞬間左右から鋭い氷の矢が飛んできた。


空いてる手で指を鳴らし六つの火の玉を出し、二つは相殺四つは気配のある方に向かわせる。


当たると思われた火球は、突然現れた闇に飲まれて消えた。


なるほど王女が疎まれている理由はこれか。しかも詠唱が聞こえなかった。


闇の適性がよほど高いのだろう。基本的に闇は魔族の特徴だ。


だから人の世では忌み嫌われており、属性が発現したら殺される事も珍しくない。


ずっと付いている暗部は我ではなく王女に着いてたのか。


そう納得したところで魔神の得意とする闇球の様なものを出現させて飛ばしてくる。


質は魔神より明らかに低いが、困ったことに人化した状態でこれに対抗するのは中々辛い。


闇球の威力もそうだが、これを破壊するのには結構魔力を使う。持久戦ではジリ貧だろう。


普段は、手に魔力を込めて殴って破壊するスタイルなのだがこれも対抗策考えるべきか?


龍脈があるためその辺あまり考えず使っていたのだが。


我、光属性は何故か使えないし解決策はすぐに思いつかない。


仙術も空間が隔たれているこの部屋ではそれほど効果がないだろう。


メイなら何とかできそうだが、我はあそこまでの練度がない。


なので右腕の手首から先を龍化させて龍脈を操れるようにする。


これでもほんの僅かしか操れてないが、他を強化していない為体が持たない。


だが、それで十分だ。右手から闇球を破壊できるほどの魔力の衝撃波を出し相殺する。


王女は驚いた顔をしているがすぐに気を取り戻して、攻撃してくる。


それを同じ方法で相殺しながら考える。


魔力とはいえ直接攻撃した身で言えることでは無いかもしれないが、これはあくまで魔法勝負だ。


だが、闇属性は魔法を吸収する効果もあるため、明らかにこちらが不利なのだ。


いや、これは言い訳だな。王女は強い。まだ、荒い面もあるが非常に優秀だ。そして我も勉強になった面もある。


人としては負けだが、龍神としては負ける訳には行かない。


左手も手首から先を龍化させて、雷を発生させて闇の壁を吹き飛ばす。


詠唱は雷の音で聞こえていないが、結界術を発動させているのを眼で確認し、魔法の攻撃を強める。


結界は時間稼ぎだったのだろう。すぐに破壊したが、その裏に用意されていた圧縮された闇が開放された瞬間、闇の砲撃が飛んできた。


これが魔力的にも切り札か。龍神眼を解除して、両手に魔力を大量に圧縮させて障壁を作る。


闇はその障壁を破壊していき、最後の1枚でようやく止まった。


「私の負け」


それを魔力の障壁の向こうから見ていた王女様は満足そうに言った。




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