第21話 勇者の調査

女とはめんどくさいものでは?と思い始めた龍神である。普通の女は男にプレゼントをあげる側らしいのだが我の周りの奴ら強請ってばっかりでは?やっぱおかしい。


「メイ、これからどうするのだ?用事がないのなら魔神に頼まれている仕事をしたいのだが?」


王都についてから数日経ち、どこか慌てた様子で離れていったファルを待つために今は誰も住んでいない家の屋根の上にメイと座り、月影を掌でクルクルと回しながら暇を潰す。


「私も知り合いと話してくるから好きにすればいいネ」


仙女の知り合い?世界の理から外れている知り合いが俗世で暮らしているのか?


「わかった」


メイの知り合いも気になったが、本来の目的である勇者たちについて調べに行こう。






基本的に、正攻法で世界の壁を壊して異なる世界に魔力の道を繋ぐことができるのは、神格を持つものだけだ。権能などの問題ではなく、魔力の濃さが神格を得る前と後で違うからだ。それでも獣神は破壊しかできないが、知識と性格的な問題だろう。


では、なぜ我らが手を出さずとも種として矮小な人が異界の魂を持って来れたか?それは、龍脈を利用しているからだ。偶然なのか意図的なのかわからないが王都には小さいが龍脈の終着点である龍穴が存在する。

専門的な事を話すと長くなるから話さないが、簡潔に言えば勇者召喚の異なる世界に繋ぐ魔力という一番の問題を世界に肩代わりさせているというわけだ。


龍脈の利用に気づいた時、怒りよりも前に感心したものだ。

「何の加護を持たない人種が一部とはいえ龍脈を利用するとは」と。それが我が人の技術というものに持った時だったか。


それはともかく、なぜわざわざ王都まで来て調べるのか?それは龍脈が溢れ出ている影響で遠くからでは龍神眼をはじめとした眼を使っても見えないのと、勇者達は少なからず龍脈を吸収して人を逸脱している能力を持っており、世界の破壊への影響を与えないように監視しないといけないからだ。最悪のためにも。



勇者については調べるも何も王都に来た時からその話題一色だった。情報も聞き耳を立てているとすぐに集まり、その中での一番の情報は国から勇者の教育係の依頼だ。メインは騎士団の人が教えるらしいが人手が足りないのと、教える分野の違いから依頼されるらしい。


「まずはギルドの依頼を受けるか。いや、メイに言うのが先だな。」


依頼を受けようかと思ったが、長時間の依頼だし報告しないと怒られる。先に王城に忍び込むか。


これからの予定を決めて、メイと会うまで暇なのでに空き地で魔剣を振ってみる。

どこの国かわからないが、龍神眼で見た国の騎士の剣術の真似だが左足を前に出し、右足と肩幅を開く。膝を軽く曲げて、重心はやや前に置くき、魔剣は担ぐように構える。


右足で踏み込み、腰、肘、手首を連動させて殴るように振り下ろす。そのまま手首を返して水平に切り雑草を切り飛ばす。剣の重さで多少人間には無理では無いが手首を壊す剣の動きだが、その人間ではあり得ない軌道が隙を生む。

そのまま、剣での除草作業をしているといつの間にか夜になったので城に向かう。


まだ見ぬ異界の知識と技術が楽しみで自然と出た龍神の笑顔は通りに居た男女の時間を止めてしまうようなほど魅力的だったそうな。



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