第11話 冒険者ギルド

交易都市ベルリムは交通や貿易を主に発展した都市であるために人の出入りが活発で賑やかだが大通りではいつもと違う賑わいがある。その中心にいる青年と女性は龍神と仙女。

伝説に出てくるような存在だと知らないことはここの都市の人達にとって確実に幸運だろう。



龍神視点


我最強の龍神である。色々あって交易都市ベルリムに来て早々だがもう帰りたいと思っている。

理由は言わずもがな女性関係であるのだが


「メイ。人間たちの耳はどうなってる?」


メイに手を掴まれて大通りを歩きながら悩みを話す。

何故か半数以上の女性とコミニケーションを取ることが出来ない。なのに嬉しそうにしている。

耳がおかしいのにポジティブ過ぎるだろ!


「(男慣れしてない女に拳一個分の距離で話されたり、ナチュラルにボディタッチされたりしたら話せないに決まってるアル)さあ?私にも分からないアル」


「そうか。まあ人間の事についての知識がまた一つついたので良しとするか」


間違った上にどうでも良い知識を得た龍神は何処に向かっているのかメイに聞く。


「冒険者ギルドに登録するアル」


「そういやそんな所もあったな。分かった。そういえばメイは登録していなかったか?」


「しているネ。けど新しく作らないと一緒に依頼を受けられ無いアル」


「何故だ?」


「それはここの人に聞くといいアル」


そう言ってメイが指を指しているのは外石造りの無骨な建物だった。要塞のような冒険者ギルドの扉は、非常に大きく、どの種族でも入れるようにされている。


中に入りいい加減慣れてきた視線とざわめきを無視しながらメイと一緒に並んでいると金髪青眼に場違いなドレス。見るからにお嬢様という見た目の女性が話しかけてきた。


「あら?あらあら随分引きこもってたのね。そして”拳聖”と呼ばれた貴方が男を見つけたの?」


「げ。なぜマリーがここにいるネ。いつもどうり魔術研究でもしとくアル」


「拳聖?」 「そんな奴が居たのか?」 「物語でもあるだろほら”炎帝の悲恋”に出てくる拳聖だよ」


奥にいた男性達からそんな声が聞こえてくる。

話している二人の会話を後目に男達に話に行く。


「今の話詳しく教えてくれんか?」


「お前は拳聖の男か?」


ここで否定するのも不自然か


「そうだな」


「いいよな。俺もいい女侍らせたいね」「そして貢がれたい」


少しクズ過ぎないか?まあいい


「拳聖とはメイのことか?」


メイのことを知ってそうな男に聞く。


「そうだ。なんせ一千年前の話だからな俺も実在するとは思って無かった。だが、ギルドでの二つ名の”拳聖”はそのメイってやつだけだ。」


「その二つ名と言うのはなんだ?」


そんな事も知らないのか?みたいな表情を三人にされたが、話してくれた。

案外良い奴なのか?


「二つ名は大規模な盗賊の退治、災害指定級の魔物の討伐、迷宮での功績などが認められた時にギルドからつけられる。」


成程。我の龍神みたいなものか。少し違う気もするがまあいい


「”拳聖”という事は格闘か。だがメイより我の方が強いぞ?」


我がそう言うとギルドの中が静まり、次の瞬間拳同士の轟音がなり、その衝撃でがなり机が吹っ飛ぶ。

轟音の発生源は龍神と仙女の正拳突きだ。


「リュウ。弟子がいい気にならないアルよ。人化している状態では私が勝つネ。」


正拳突きから兎人族のよく使う拳法の”寸勁“を叩き込んでくる。それを受け流しながら回し蹴りを繰り出す


「我は人化していても最強だ。」


そう話しながら激しく技を繰り出す。



それを見る冒険者ギルドの関係者に魔神の眷属であるファル。


(あれ、龍神様ですよね?何ですかこの状況!)

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