第32話 佐竹和美の日記② 『大川教授の手紙』

佐竹和美の日記②


◆◇


今日は

何だか・・とても衝撃的というか

びっくりする出来事の連続だった


私の想像では

不動産会社を介して

堂本さんの希望に沿った

賃貸住宅を幾つか回ると思っていたが、そうではなかった


確かに賃貸住宅ではあったけれど

想像以上の・・・物件だった


築70年の日本家屋で

リノベーションされており

和風住宅の良さを残され

タイル張りでかわいい洗面台、照明もレトロ感

現代生活に合った快適で

住みやすい作りになっていた


特に素敵だと感じたところは

緑に囲まれたウッドデッキだ!

ラウンジの掃き出し窓から出入りができ

入居者同士が縁側に座り

語り合うスペースが情緒溢れた

別世界のように感じた

この住宅は

日本新大学の近くにあるシェアハウスで

大川教授の知人の不動産経営者が所有しているらしく

堂本氏の賃貸契約には伊藤弁護士が

立ち合いをしてくれた


よくよく話を聞いてみると

このシェアハウスは

大川教授の教え子だけが

入居を許されるようで

20の居室の8割が学生であり

今後、佐竹が日本新大学に入学する事になれば

このシェアハウスの一室が

私に提供される予定であるとの事。


しかもすでに私の為に

日本新大学進学に向けた準備と

堂本氏を尋ねる時の為の

生活の拠点になれるように

今日から住まいを提供します!と

説明を受けた時は、唖然とした。。


さらに堂本氏の生活用品を購入する際

私の分も一緒に購入する予定だ聞いた時・・


しばらく状況が把握できず、言葉が出なかった


私は、「まだ進学を決めた訳ではなく

住まい提供など申し訳ない」と

辞退を申し出たが、

伊藤弁護士が大川教授より

預かった手紙を読み

承諾するしかない・・と思えてしまった



◆◇


(大川教授の手紙)


「佐竹さん!

元気にしているかい?


この手紙を読む頃

伊藤弁護士より

シエァハウスの

東京の住まいの説明を

受けている頃だと思う


今回、堂本氏の為に

わざわざ足を運んでくれた事を

とても有難く思っており

私は君に、心から感謝しているのだよ!


君は『日本の宝』だ!

まだ私の教え子になると決まった訳ではないが

これから7つの条件を受けてもらう事と

堂本氏の生活支援のアルバイトの為に

東京に頻繁に来る事になるだろう


堂本氏と君が入るシェアハウスの住人は

全て私の教え子達であり

きっと君の力になってくれる筈だ!


金銭的な事は

何も心配いらない

私の財団「日本福祉財団」が

全ての必要のサポートを約束しよう!


君の人生にとって

必ず大きなプラスになる!

私を信じてくれ!


また会える日を

楽しみにしているよ!


健闘を祈る!!」


大川

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