第15話 兄弟の再開

その日の夕方 阿部さんは

丸亀デイの体験利用を終えて、自宅に戻った

妻はいない・・

しかし5年ぶりに会う 弟信二の姿があった


「信二か・・・久しぶりだな!」


「兄さん!元気だったかい?」

しばらく沈黙が続くが

信二の後方には妻早苗とケアマネ佐竹が立っていた


「お帰りなさい!阿部さん

今日は丸亀デイ体験利用

お疲れ様でした!」


「ありがとう!佐竹さん!

佐竹さんには今朝から

妻の事を含めて たくさん迷惑をかけて

申し訳なかったです


それに 丸亀デイという

素晴らしいデイを紹介してくれ

亡き母の友人と再会できて・・とても嬉しかった


信二!俺たちが子供時分から親交のあった

幸さんがデイサービス利用していたのだ!」


「あの幸さんが?

俺たち兄弟も大変世話になった方だよなぁ・・

懐かしいなぁ・・元気にされていたかい?」


「ああ・・明後日の水曜日に

俺も丸亀デイに行く予定なのだが

幸さんも週3回利用されていて

会う約束になっているのだよ!

また信二も 面会に来てくれよ!

きっと幸さんも喜んでくれると思うぞ!」


「そうだね!会える日を

楽しみにしているよ!」


阿部さんと弟信二さんが幸さんを話題にし

笑顔で会話されている姿を見て

確執のあった兄弟が和解できている事を

佐竹は察知できた


なぜなら事前に妻昭惠さんより

弟夫婦と連絡を取り合っている事を聞かされており

全面的な協力の申し出があった事を

聞かされていたからだ


本当に良かった!

これで未来型サービスの開始されたら

全てが上手く行く筈だ!と

佐竹は確信していた


その為に 今から

阿部さんの弟夫婦に立ち会って頂き

丸亀デイの介護保険の契約と訪問看護の管理者

そして未来型技術担当者と

サービス担当者会議を行う予定である。


うまく話しが進むと良いのだが・・


まず未来型サービスの技術スタッフが

阿部さんが使用する各部屋に

映像を撮影する為の機具を設置する

またこれから関わる各サービス機関との連携を深める為に必要な

阿部さん自身の詳細のアセスメント情報が必須となる


介護保険のアセスメントは通常担当ケアマネが行う

佐竹は勿論参加するが

本当に必要なサービス量と未来予測

どのようなニーズがあり

本人の自立支援に繋がるのか?

家族の支援として何が求められ

トラブルが生じた際の対応方法、危機管理

サービス遂行能力、連携が密に図られ

人として『当たり前の生活を築く』事を目標とする!


従来の介護保険制度において

ケアマネがケアプラン原案を作成し

それを基に、関わる各サービス事業所と

サービス担当者会議を開き

サービスの方向性を定める!

本人の役割、家族の役割、近隣の友人や自治会等の

インフォーマルサービスの関われる見込みを図る。


介護保険サービスは、単にお手伝いであったり

家政婦や人材派遣とは違い、

本人、家族もメンバーの一人であり

抱えているニーズに対して、長期的、短期的に

達成すべき目標と具体的なサービス内容と期間を定める


未来型サービスは

介護保険サービスと理念は同じであり

将来的に導入が必要と思われるサービスを

先行して実施する主旨があるので


全ての利用者が利用できる訳ではないが

今回、コロナウイルス感染症が

蔓延するご時勢であるからこそ

可及的速やかなサービス実施が必要なのである!


「さて!阿部さん

早速始めていきましょう!!」

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