第13話 妻の反応

今回未来型サービスの提案をする上で

佐竹は事前に、阿部さんの妻である昭恵さんに連絡を入れていた


まだコロナウイルスの濃厚接触者である疑いで、ホテルで待機する必要があり、心細くもあり、今回の骨折の治療に関して、病院の通院が可能なのだろうか?と不安な気持ちを募らせていたが、一番の心配は、夫の今後の介護の方向性の見極めである。


妻として、夫を自宅に残す事に反対であり、夫の介護の関わりの頻度を思うと、トラブルが生じた時に、どこまで介護サービスでフォローできるだろうか?夫は自分が思っている以上に何もできない。しかも他者依存が強い傾向にある事を、長年介護をしている妻であるだけに、とても心配であった。


今回、デイサービス利用が奇跡的につながった事を、喜んではいるが、本当はショートステイ利用を妻としては、望んでいる。


そして一番心配している事は、今回ケアマネから提案のあった、「未来型サービス」である。本来の介護保険サービスとは違い、多額な費用がかかるが、医療看護福祉が密に関わり、まるで施設にいるかのような対応を、在宅でサービス提供を受ける事ができる、と聞いた。しかし自宅内が全てカメラで監視され、個人の生活のプライバシーがあったものではない!と思えてしまう。


AIが全てを管理しているので、家屋内の様子をいつでも見られる訳ではなく、必要最低限の映像のみとなっており、不必要な部分はモザイクがかかる事になっている。


妻として、全てを介護保険サービスに甘えるのではなく、私もテレビ電話で、ヘルパー訪問時に、普段の様子を伝える事ができるのではないか?また今朝、夫の弟夫婦が近隣に住んでおり、これまで希薄な関係性であったが、今回のトラブルでお互いの距離が近づき、食事の提供や安否確認の協力を申し出てくれている。


「家族会議がしたい!早苗さんに連絡をしてみよう!」


「早苗さん!昭恵です!

今朝は、ケアマネさんと一緒に来てくれてありがとう!」


「お義姉さん

ずっと心配していたいのです!骨折の具合はどうですか?それにコロナ感染症の濃厚接触者って本当ですか?」


「そうなの・・・しかも・・」

昭惠は詳しく、説明をした。


「未来型サービスって何ですか?

はじめて聞きました・・でもすごいサービスですね!」


「夫は施設入居を拒んでいる以上、佐竹さんの提案を受けてみようと思っています。

でも家族でできる事があれば、全てをサービスに甘えたくはない・・・

そこで早苗さん・・信二さんはいつ頃、家に戻りますか?

私は、コロナ感染症の濃厚接触者と言われているので、会う事はできないけど

電話で今後の相談をしたいのだけど・・」


「19時には戻る予定です!

戻り次第、お兄さんの家に行くつもりなので、お義姉さんを含めて4人で

テレビ電話で相談する事にしましょう!

私たち夫婦できる事は、何でも協力させて下さい!」


「ありがとう!早苗さん!

本当に助かります!!」

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