第39話 世界一周計画

二人で何時もの様に食事をした後、何時ものバーの何時ものカウンター席で並んで飲んでいた。

飲んでいるのはカクテルで彼は何時ものマティーニ、彼女はマイタイだった。

彼女はグアムへ行った時にはマイタイしか飲まなかった。

因みに、彼は何処へ行ってもマティーニだった。但しベースは時々変わる事が有った。

二人は次に何処に行こうかと具体的な渡航先を話していた。

グアムは楽しいのだが行き過ぎて顔を知られ過ぎたと感じていた。

サイパンは日本人の観光客が激減し寂しい雰囲気が二人は好きでは無かった。

但し、最近は盛り返していると聞いているので候補地に加わっていた。

「やっぱり定番のモルジブとかシェーシェルは押さえて置きたいわ」

「二か所とも距離の割りには時間が掛かるよ」

「地球の裏側の南アメリカの24時間以上に比べれば近いものよ」

「まぁね、僕もウユニ塩湖、マチュピチュにも行きたいのだけれどやはり時間がね」

「どうせ一等席でしょう、楽な物よ」

「今は一等席のある航空会社は少ないよ、ビジネス・クラスに統一した見たいだね」

「へぇ~、そうなの、そう言われればファースト・クラスって見かけ無いわね、あぁ、待ってね」

彼女は何時ものバックよりも大きなバックからパンフレットを沢山だした。

「おやおや、可成り真剣だね」

「へへぇ~、父が脛を齧ると喜ぶのよね、此れまで頼った事が無かったから」

「全て、私がお金は出しますが」

「そうなんだけど、余りにも会社を休んでいるから、今度は首でしょうね・・・貴方は会社に必要な人だからプロジェクトが無ければ自由だものね」

「まぁ、恵まれているかな」

「貴方の能力なんだから良いんじゃないの、でも貴方への評価が低過ぎると思うわ」

「そうでも無いよ、僕の給与は年給で歩合なんだ、だから役職とは関係ないんだ」

「なんだ~、だからお金持ちなのね、でも誰が知っているの、上司は貴方に対する態度が横柄だし、知らないんじゃないのかしら」

「勿論知らないよ、知っているのは役員だけだね」

「興味本位で聞きたいんだけど、去年の年収は」

「億を超えている」

「ひぇ~」

彼女は叫んで口を押さえ回りの人達にお辞儀をして謝った。

「もう、世界一周しましょ、二回、三回、北回りと南回りの二回ね」

「良いよ、どの船にするのかい」

「う~ん、世界一周のカタログとネットは見たけど、そのつもりが無かったから余り覚えていないわ」

「なら、今からネットで見れば良いよ」

彼は何時も持っているパソコン・バックからパソコンを出した。

検索文字に世界一周と入力した。

彼女は下に動かしてイギリスの客船をクリック右クリックし別のタブで開いた。

「やはり、クィーン・エリザベスですか」

「ノー、二世よ、二世」

「この船の料金が基準みたいなのよね、でも日本の船は倍もするのよね、でもね、その予約が直ぐに完売するらしいの、日本人だけでは無いでしょうけど殆どが日本人よ、どれだけのお金持ちが日本にはいるのかしら、クィーンが一人400万円以下、二人で800万円以下なのに日本の船は一人600万円以上700万円位なのよ、夫婦だから1500万円も掛かるのよ、其れなのに直ぐに完売するらしいのよ、凄いわよね~」

「1500万円の旅行が出来ると言う事は資産はその10倍以上でしょうね」

「いいえ、もっとだわ、2億円の資産家なら1500万円を使う気になるけど1億じゃ、その中の1500万円を使う気には成れないわ」

「でも皆さんお年寄りですよ、墓場にはお金は持って行けない、と言うでは無いですか」

「そうね、私がまだ若いから気持ちが解らないのかもね」

「それで、この船に決めますか」

「金額の上限は」

「ありません」

「じぁあ、この船の最上級の部屋に決めました」

「では、予約して下さい」

「今ですか」

「決めたのでは無いのですか」

「う~ん、そうすんなり言われると悩むわね~、もう少し考えさせて下さい」

「解りました、お好きなだけ時間を掛けて下さい、この時間も楽しいものですからね」

「そう言う事」

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