第38話 ゴーストと言う名のハッカー

アメリカの大手三大新聞に広告が出されテレビでも報道された。

そのニュースについての関係者からの報道では悪戯で犯人を追跡していると報道された。

「NSA、FBI、CIA合同でゴーストに依頼あり連絡願いたい」

この記事が乗った新聞が発売された一時間後に大統領の携帯電話にメールが届き、罠で無いなら、今後の連絡は大統領とだけ行うとの内容で私を追跡する動きがあれば、その時点で連絡を絶つ、と言うものだった。

大統領へのメールが届いた直後に緊急に国家安全保障会議が招集された。

当然、これを機会にゴーストの正体把握と逮捕を望む意見が大多数を占めた。

だが、皆の意見を聞いていた大統領が最後に言った。

「どの組織で有ろうとこの者を追跡する行動を取った者、組織は国家反逆罪を適用する・・・長官を含め関係者全員を逮捕する、グアンタナモに入って貰います」

大統領のこの言葉に今回の事件が重大である事が再確認された。

大統領への一度目のメール追跡の中止が会議中に各組織に通達され、その通達の15分後に2度目のメールが大統領に入った。

「私の調査中止を確認した、要件はNSA、FBI、CIAの海外捜査員名簿が漏れた件で有れば、犯人の通信を遮断してある、犯人の住所、指名を知らせる、対応せよ」

続いて、犯人の住所と指名が表示され、大統領と各組織の長官たちが唖然となった。

「名簿の確保を優先し、ただちに逮捕に当たれ、名簿は開けるな、此処で内容を確認する」

各長官は三人の次官同士の協力の元逮捕に向かわせた、現場指揮はNSA特殊部隊隊長で指揮所の隊長は無論、大統領で有った。

その時、三度目のメールが入った。

「この件に私の関与を疑うならば今後の協力は期待しない様に、この犯人を監視していて犯行と同時に対応しただけです」


2時間後、会議室にUSBとHDDが置かれていた。

「犯人は別室に警備員10名が見張っています、現在の処、一名の漏洩も確認されていません」

「HDDとUSBの内容を確認し直ちに破壊します、宜しいですか」

「良いでしょう、但し、漏洩の方法とその防止案の提出を求めます」

「承知しました」

「処で彼か彼女、あの者はどうやって漏洩を知り防いだのかわかりましたか」

「知った方法は解りませんが、犯人の通信手段と移動手段、つまり車を動かなくした様です」

「また、付近には顔写真と共に賞金1万ドルの張り紙が出回っていました」

「今後、私の絶対的な指示としてゴーストの追跡を禁止します、敵にする寄りも味方のままでいてもらいます」

「大統領・・・解りました」

「今後の大統領の申し送り事項の一つに加えて下さい」

「大統領、畏まりました」

その時、大統領の携帯にメールが入った。

「貴方の決意に感嘆しました、私が今後の大統領のお役に立つとお約束します、但し、その約束はどの機関の誰も私の正体を探ろうとしない事が条件です、この条件が破られぬ限りお役に立つ約束を守ります」

大統領は受け取ったメールを読み上げ執務室の皆が賛同の頷きをした。

これ以降、時々、この人物の力を借りて事件解決が為された。

但し、政府機関の手柄として公表されていた。

これは、この人物の要求の一つに入っていた。

報酬についての条件もあり無報酬であり要求も無かった。

その人物の条件には刑罰に殺害は無く裁判を要求していた。

一度、NSAの情報処理担当者がその人物の正体を探ろうとした事が有った。

その担当者は国家反逆罪の罪で非公開の軍法会議に掛けられグアンタナモに収監されていた。

この話は都市伝説の様に各捜査機関に流れて行った。


裁判ではハッキングなどの不当に入手した資料等は証拠としての能力は無い、例えそれが殺人の瞬間の写真であってもである。

これはもしAIが裁判官であったならあり得ないものであるが人が人を裁く不手際の予防処置としては当然とされている。

大統領は彼に要請するのは証拠としてのハッキングでは無い、最重要に指定された罪人の居場所が主な物であった。

他のテロなどの大量殺人の予防処置である。

彼の情報に寄って50件以上の大量殺人を未然に防がれていた。

爆弾、細菌などで無論、秘密裡に処理され犯人たちはグアンタナモに送られた。

アメリカの大統領は慎重に厳選し無論、彼の許可も得てカナダの大統領と英国の首相も彼に依頼する様になった。

メキシコの大統領も入れたいと言ったが彼に拒否されてしまった。

当然、アメリカ大統領は直ちに理解し麻薬捜査などでのメキシコとの合同捜査を中止させた。

国際問題を覚悟の上でメキシコ国内での麻薬、米国人誘拐などま捜査をアメリカの捜査機関が行う事になり成功率は何と100%に達した。

又、大統領には時に捜査機関の名簿が彼から送られて来る事があった。

勿論、何処かの国、組織に買収された者たちの名簿である。

証拠能力の無いデータであれば彼が渡してくれたが大統領は各機関の長官に連絡し調査を依頼し正式で正当で証拠能力のある資料を手にし逮捕、起訴して行った。

アメリカ大統領は彼が日本人なのでは無いかと思っていた。

何故ならば日本が世界中で犯罪率が異常に低いからでずっと以前から彼の力を借りているのではないか、と考えたのである。

だが、それについて彼に尋ねる事も誰かに言う事も無かった。

実の処、彼の考えは的を得たもので日本では情報が電子化され始めた当初から彼の力を借りていたのである。

其れをしるのは歴代の首相だけであった。


このゴーストと呼ばれるハッカーは世界中のハッカーの中でも伝説の人で、その実在さえも大火では無かった。

このゴーストと呼ばれるハッカーの名前は・・・彼だった。

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