第34話 将来の旅先

「本当に貴方は徹底しているのね」

「何がかね」

「低温環境での弾道計算と実戦でしたっけ・・・カナダの」

「そうですね、どうせ何かをやるのなら徹底的に極めたいと思っています、射撃であれば何時も絶好の環境とは限りませんのでいろいろな環境で試しました、その一つが砂の舞う高温の砂漠で有り気温の低い砂漠で有り極寒の氷の粒の舞う氷原でした」

「貴方は本当に徹底しているのね、凄いわ」

「臆病なだけですよ」

「貴方が臆病・・・臆病ですって、私、貴方ほど男を感じた人を知らないわ」

「用心深いの別の見方は臆病ですよ」

「・・・成程、そう言う見方もあるのね、何だか哲学的だわ」

「カナダの話に戻るけれど君は通常の拳銃、ライフルは及第点、特にスナイパーの素質がある、けれど条件が悪くなるとまだまだですね」

「グアムでの練習は意味が無いと言う事ね」

「そうですね、グアムはダイビングに行く事か射撃の間が空いた時に利用するしか行く意味がありませんね」

「アメリカとカナダへ行きましたが南米やヨーロッパ、アフリカには行かないのですか」

「射撃場は世界中にあります、徴兵制を実施している国にはまずあります、ヨーロッパではスイスとスウェーデンが徴兵制を取っていて射撃場も有ります、ですが管理が厳しく会員でなければならず観光客には無理な様です、ヨーロッパへは只の観光で行きます、世界遺産を観る事が好きですのでね、アジアでは韓国、タイでも射撃が出来る様です、南米へは行くのに時間が係り過ぎるので行っていません、ブラジルで射撃が出来るそうですがね、アフリカへはエジプトにだけ行った事があります、只行った時期がクーデターとクーデターの合間でとても射撃など出来る状況ではありませんでした、貴方は何処か行ってみたい処がありますか」

「冗談でアマゾンて言ったけど現実となると・・・う~んやはりパリかな・・・グレート・バリアリーフもいいわね、ハワイも、ベリーズもイタリアも良いわね」

「それぞれの目的は何???」

「グレート・バリアリーフ、ハワイ、ベリーズはダイビングですね、パリとイタリアは只の観光です、私はどの国で射撃が出来るのか知らないですから」

「私も行った事が無いのでネット情報ですがオーストラリアのケアンズで射撃が出来る様です、ハワイはアメリカですから勿論できます、ベリーズ、フランス、イタリアは解りません」

「じゃあ~オーストラリアね、ケアンズに降りて射撃をしてバリアリーフでダイビングね」

「良いですね、では次回はオーストラリアを検討しましょう」

「私も日程を考えて良いですか」

「勿論です、お願いします」

「でも、私は普通の環境では及第点なのでしょう、やはり砂漠と氷原での訓練が必要なのじゃないかしら、家も銃も既にある訳だし使わないと勿体ないわ」

「君がそれで良いのなら良いですよ、でもダイビングや射撃訓練の為の旅行では無く只の観光旅行もたまには良いと思いますよ」

「ダイビングと射撃が目的ならオーストラリアで観光だけならパリで良いの???」

「勿論、良いとも」

「じゃ~両方調べて計画を立てるわ、でも、過酷だけどアメリカの砂漠もカナダの氷原もまた行って訓練したいわ」

「そうだね、君の才能も勿体ないからね」

「私の命中率が良いのは極普通の環境、それもすごく良い時だけだわ、どうしたら砂漠の砂の舞う中や氷原の氷の舞う中で命中率を上げられるの???」

「砂漠で砂嵐になれば狙撃どころでは無い、生存するだけでも大変だ、まぁ氷原でも直ぐ前が見えなくなる程の吹雪もあるがね、幸いにも君は二つにまだ会っていないがね」

「経験してみたい様な怖い様な・・・」

「今、どちらの訓練をしたいと聞かれたらどちらを選びますか」

「う~ん、砂漠に行けばその前にエディー達に会えるけど、どうも私はアドレナリン・ジャンキーになったみたいね、カナダの氷原で吹雪を経験してみたいわ」

「武術の上位者は、達人と言われる人は皆ジャンキーだと思いますよ、辛い事がいやでは成長できませんからね」

「そうですよね、此れで良いのですよね」

「はい、貴方はまだまだ上達します、成長過程です」

「世界が此れまでと違って見えるのかしら」

「ええ、此れまで気付かなかった事に気付く様になります、それに過酷な環境で生き抜ければ普通の環境が過ごし易くもなりますよ」

「成程、それで貴方は町中ではハツラツとしているのね」

「そうですか、私は四方に警戒のバリアーを張り捲らせた臆病者ですよ」

「貴方が臆病ですって、笑っちゃいますよ、貴方ほど堂々としている人はいないと思いますよ」

「ありがとう、でも、他にもいるのですよ・・・グアムで有った男とあの女刑事です」

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