第28話 回想-ベガスの遊覧ヘリ
翌日朝10時10分前にロビーに二人が降りて行くと既にエディーが居て自分の変わりのコンシェルジュと話し込んでいた。
「あ、おはようございます」
「おはようございます」「おはようございます」
「失礼ですが、日本人のお客様は楽で良いです、時間に正確です」
「その評判を落とさない様にしています」
「流石に日本人だ」
「今日は息子のヘリコプターで遊覧です、車で30分で空港へ着きます、飛行時間は1.5時間です、
燃料の関係でこれが最長です、普通は30分か45分ですから、これでも長いんですよ」
「清一郎さん・・・ 清一郎さん・・・どうしたんですか」
「あ、何度呼びました」
「二度です、どうしてんですか、何だか目を開けて夢を見ている様でしたよ」
「そう、その夢を見ていました・・・二人で行ったアメリカ旅行を思い出していたんです」
「えぇ、私も今思い出していました・・・楽しかったですね~何処を思い出していたんですか」
「最初から・・・日本を発つ時からベガスでヘリに乗る処まだ行きました」
「えぇ~、最初から・・・ずっと、ベガスまで・・・へぇ~凄い・・・部屋に着いたら二人で旅行の話をしましょう、ね、ね」
「エディーは元気にしているかしら」
二人は日比谷の老舗のホテルの部屋にいた。
レストランで食事をして好みの珈琲と紅茶も飲みバーでカクテルを味わいながら、これまでの旅の思い出を話あった。
雪恵にはグアム以外は詳しい場所は判らなかった。
それはアメリカとカナダに限らず日本国内も大体の場所しか分からなかった。
運転は雪恵もしたがナビにも無い道無き道を清一郎の指示されるがままに行ったからだ。
それは日本だけに限らずアメリカとカナダでも同じだった。
ただ清一郎は座標を雪恵に教え秘密にはしなかった。
二人に何かあれば落ち合う場所としての意味合いが強かった。
エディーの運転で息子が待つ飛行場へ向かった。
息子も親父に似て大きな男でエディーにそっくりでハンサムだった。
早速三人が乗り込み管制塔とやり取りをし出発した。
上空に上がるとエディーは息子に母親に連絡させエディーは清一郎の提案を妻と息子に説明した。二人は乗り気で娘も大賛成だろうと太鼓判を押し皆で行く事になった。
その時、清一郎と雪恵も加わり相談の結果、馬で4泊5日の旅行になった。
但し、息子は車にテントや食料などを積んで随行する事になった。
馬に疲れる、または馬が疲れたら車に乗れば良いので非常に良い案だった。
あの間、ベガスとその近辺を飛行しエディーがベガスの歴史も含めて解説してくれた。
「ラスベガスはネバダ州南部のクラーク郡に在って州で一番大きな街です。
もちろんカジノで有名な街ですがアメリカには東のニュージャージー州にアトランティックシティもカジノで有名なんですよ。
ネバダ州は所得税も法人税もないんですよ。
ラスベガスのベガスはスペイン語で「肥沃な土地」を意味します。
1840年代にカリフォルニアで金が発見され人々の中継地点として発展した様です。
1905年に鉄道が開通し給水地になりました、当時は蒸気機関車でしたからね。
1929年からの大恐慌を期に州では賭博を合法化したのです。
1931年に建設が開始されたフーバーダムが1936年に完成し街は発展しました。
大戦中に軍の基地や核実験場の関係者も住む様になりました。
第二次大戦後の1946年にベンジャミン・シーゲルがフラミンゴ・ホテルを建てたのを最初にホテルが増加し現在、客室数の世界12位までの内11位までがラスベガスに有ります。」
ラスベガスの成り立ちをエディーが資料も見ずに説明した。
「夏は40度を超える日も有りますが冬は氷点下になる時も有るんですよ」
ヘリコプターの操縦をしながら追加説明をした。
ベガスの街の周りを渦巻き状に周り大通り、通称ストリップ通りの上を飛んでくれた。
前日に歩いた道を「あっと」言う間に飛んだ。
宿泊している「ルクソール・ホテル」の上を通りエッフェル塔の上を通りその向かい丁度噴水も見えた。
その後、荒涼とした砂漠の上へ行き、最後にベガスの街の周りを一回りし着陸した。
「ミスター・サイトウ、ホテルのチェック・アウトをしないのですか」
「ええ、そのままですよ」
「我が家で預かりますよ、如何ですか、帰ったら我が家に泊まれば良い」
「ありがとう、気持ちだけ受け取ります」
「気が変わったら、何時でも言って下さい」
「ありがとう、皆さんとキャンプに行ってからアメリカを回ってカナダに行く予定ですので」
「おぉそうですか、今度アメリカに来る時は、ぜひ我が家に泊まって下さい」
「ありがとう」
「明日も同じ時間に迎えに行きます、服装は乗馬とキャンプに合う様にお願いします。」
「了解です、ところで貴方は言い方が日本人の様ですね、日本語ができるのではないですか」
「アメリカ人らしく無いですか・・・仰る通り昔日本に暮らしていました、妻も一緒にね」
「やはり、失礼だがアメリカ人は細やかさに欠ける、貴方の言い方はとても親切だ、素晴らしい」
「ありがとう、では明日、同じ時間にお会いしましょう」
「ミスターサイトウ、ミス・ユキエ、シーユートゥモロー」
エディーに続いてマイクも別れの挨拶をして去っていった。
「シーユー」「あしたまた」
二人も返した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます