第25話 会社訪問
何時もの様に淡々と画面に向かっていると珍しく上司に会議室へ呼ばれた。
清一郎が部屋に入ると上司がお客らしい女性と対面していた。
「何でしょうか」
無気力な感情を全く含まない言葉を発した。
「斎藤君、君にこちらの方が質問があるそうだ」
上司の言葉を女性が引き継いだ。
「警視庁の麻生と申します、幾つかの質問に答えていただきます・・・失礼ですが二人だけにしていただけますか」
麻生と名乗った女性が上司に願った。
その時、ノックがして「失礼します」と言って女性がお茶を持って現れた。
上司は部下の女性がお茶を置くのを待って麻生の言う通りに部屋を出て行った。
「先月、グアムに行きましたね」
「・・・」
「銀座の事件のお悔やみを申し上げます」
「・・・」
「お座り下さい、と言っても貴方の働く会社ですが、どうぞ」
清一郎は只黙って来た時の処で佇んでいた。
「お願いですから、座っていただけますか」
「・・・」
「グアムと会社では貴方の雰囲気が随分違いますね」
「・・・」
「何も話すつもりは無いのですね・・・先程女性がお茶を持って来ました・・・グアムで貴方と一緒でしたね・・・何か言う事はありませんませんか」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「今日はこれで帰ります・・・が又お会いしましょう・・・失礼」
麻生はドアを開け帰って行った。
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