第21話 滝のグアム
滝はと言えば両者の中間、両者の併用とも取れる二つの目的を持ったグアムだった。
一つは清一郎と雪恵の二人と同じく、射撃だった。
滝も日本に長く居る時は時々グアムに来て射撃の感を失わない様にしていた。
彼の場合は一切胡麻化さない、銃の癖を掴むと全弾命中させる。
只、街中の射撃場は部品の摩耗のせいで遊びが多く着弾がばらつく店が多い。
屋外射撃場は街中から遠い為か整備が良いせいか遊びが少なく着弾が集まった。
その屋外射撃場の日本人スタッフ、いや今は帰化しているのでアメリカ人のスタッフが言った。
「そう言えば貴方の様にやたらとロング・レンジが上手い人がいるな、日本人だから友達かい」
「そうかもね、どんな奴だった」
と滝は咄嗟に話を合わせた。
「いや、一人じゃないんだ、若いアベックで・・・男は若くもないか、兎に角アベックだ。
二人は腕を隠す様にしている気がしたね・・・あぁと、客の話はプライバシー違反だな、今のは忘れてくれ」
と日本人スタッフが言った。
「何の話を忘れるんだい」
と滝も惚けて見せた・・・だが思わぬ処で思わぬ情報を得た・・・ひょっとしたらと思っていた。
そんな思いの中で日本の刑事に合い、そのアベックと思しき二人に合ったのだ。
日本人のアベックは街中の至る処にいたが何故かあの二人に違い無いと思った、いや感じていた。
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