第16話 三つの怪事件と4人の出会い
日本では稀な事件が2件起きた、日本では殺人事件自体が珍しいがこの2件は特に珍しい。
1件目は渋谷の人込みに車が突っ込み死者3名重軽症者15名が出た。
2件目は秋葉原でこちらも車が人込みに突っ込み死者4名重軽症者16名が出た。
そして3件目はグアムで起きた、こちらも車が人込みに突っ込み死者2名重軽症者8名が出た。
警察は三つの事件の関連性の有無を気に掛けた。
グアム国際空港に一人の女と同行の二人の男が降り立った。
三人は観光客とは雰囲気が異質で周りを圧倒していた。
特に不思議な事に女性が美人でスタイルが抜群であるのに凛々しく他の者を寄せ付けない雰囲気を漂わせていた。
まるでそれはその筋の女親分を思わせた。
実の処全く逆の警察官、麻生優子だ。
知らず知らずに扱う相手・やくざと似た雰囲気を漂わせる様になっていた。
常夏の地に有ってスーツを着込んだ三人は手荷物だけでさっさと手荷物検査所に行き何か手帳とパスポートを出し検査を素早く受け空港を出てタクシーで走り去った。
三人はまずいろいろな役所が集まる総合庁舎へ向かい挨拶を済ませタモン・ビーチ中心街の外れにあるグランド・プラザ・ホテル向かいの警察分署に着いた。
30分程して三人が外に現れ中心街へ歩きだし暫くすると少々太目のアメリカ人が分署の後からバイクに乗り追いかけて行った。
三人はバーガー・キングの前を通り高級店が沢山入ったショッピング・モールのタモン・サンズの向かい側の歩道を歩きサンド・キャッスルの前を通った。
その間、男二人は周りをちらっと見たりしていたが麻生は全く関心を示さず只ひたすら前を見つめ歩みを進めていた。
途中から反対側の隅を制服を着た警官がバイクをゆっくりと走らせ帆走していたが、麻生はそれにも目くれずもくもくと歩を進めた。
呼び込みがいる通りに出たが売り子も異様な雰囲気を漂わせる三人、いや女性に声を掛けるどころか近寄る事さえ出来ずに見守っていた。
三人が通り過ぎると各店の店員が集まり話あった。
「あれが日本のやくざかな~」
「女性が特に怖かったわ・・・女親分かな~」
三人は一件目のABCマートを過ぎアンダー・ウォーターを過ぎ2件目のABCマートの前で歩みを止め女性を先頭に立ち止まった後、手を合わせて暫く黙とうしていた。
三人の後にバイクから降りた警官も立ち一緒に黙とうしていた。
麻生がふと顔を上げ一方向を見つめた、その先には事件の影響で少ないとは言え日本の観光客が何人もいたが女性はその中の少し背の高い男を睨むように見つめた。
麻生が見つめた男は滝だった。
暫く二人は見つめ合っていたが二人同時に「むぅ」と言う感じで同じ処を見た。
そこにも観光客が何人もいたが二人が見たのは男女のアベックの男の方だった。
暫く女性同士、男性同士が見つめ合う格好になった。
その見つめ合いはアベックが歩き出した事により突然終わった。
女性が視線を滝に戻すと滝も歩き出した。女性は一瞬追いかけるような仕草をしたが止めた。
ここは日本ではなくグアム・海外で自分には警察権がないからだった
グアムの現場で着せずして4人は合う事になったのである。
但し相手の素性を知るのは二人だけで麻生と滝はアベックの正体を知らなかった。
期せずして二人の男女は同じ事を考えていた、お互いの素性は知っていたがあのアベックに何故目線を移したのか、お互いの目線に釣られてみたのか・・・と。
それほどにアベックは極普通の観光客だったからだ。
立場の違う男女は直後はずっと、そして間を置いて時々アベックの事を考えていた。
アベックの女性は若くてとても綺麗でスタイルも抜群、男は筋肉質の中年。
男の滝も本来ならばアベックの女の方に興味が行くはずなのだが何故か男が気になっていた。
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