第3話

「はい戻ってきました。社長の帰還」


「おはようございます社長」


「メイクさんおはよう。今日もキマってるね」


「メイクアップのメイですから」


「社長おなか大丈夫すか?」


「おなかはぜんぜん大丈夫だよ。なんかすごく小さいほうがたくさん出ました」


「カフェインね」

「カフェインだな」


「あ、あの。社長」


「うわ。紅ちゃんのきれいな顔が、なんかすごく、もっと綺麗」


「わたしの口紅です」


「すごい。惚れそう」


「まだ恋人じゃないのね」

「まだ恋人じゃねえのか」


「それより眠くてさ。このお布団借りていい?」


「どうぞ。シーツは別の使ってください。はいこれ」


「ありがと」


「社長寝るんすか」


「さっきもトイレでうたたねしてた」


「だからトイレ長かったのか」


「ごめんなさい。私も、寝て、いいですか?」


「えっ」

「えっ」


「私も、寝てなくて」


「どうぞどうぞ。こちらへ」


「おやすみなさい」


「えっ、なにこの二人。会社のオフィスで同衾しだしたけど。なにこれ」


「そもそも会社の床に布団あること自体がおかしいんだよなあ」




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