第5話 体には出るんです

「で、あなたは5年前にここで殺された被害者だと。」


『そういうこと。やっとわかったかしら?』


「うん。」


『なんで説明だけでこんなに疲れるのよ。』


俺は今風呂場で幽霊だと言うのを証明してもらっていた。


「なんで殺されたんですか?」


『遠慮がないわね。そういうの嫌われるわよ。まぁいいけど。』


「…」


『私ね、彼氏とここで同棲してたの。もう4年ほど付き合ってて、結婚を考えてた。でも、私って思ってることとか表に出せない性格で、なんでも相手に合わせて、自分の意見はずっと言えずにいた。ある日彼が私に尋ねてきたの。俺の事愛してる?って、でも私はその時さぁねって冗談で言っちゃったの。それから彼の態度がおかしくなって。』


「そうなんですね、あ、コーヒー飲みます?って、幽霊って飲み物飲めるんですか?」


『あなた、順応力高くない?なんでそんなすぐに幽霊受け入れてんのよ。普通はみんな怖がって逃げるのに。』


「俺だって怖いですよ。」


俺は視線をまた下に下げる。


『もう騙されないわ!あなた本当は変態ね!』


「あ、いえ、足を見てもらえれば。」


俺は自分の足を指さした。

その足は尋常じゃないくらい震えている。


『えー、全然顔にも態度にも出てないわよ。』


「体は意外と素直です。」


『…』


そんな目で見られても…


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