第4話 はじめまして

ここから出ようと思っているのは俺だけ。

霞美はこのことを知らない。


日記で伝えるか。


霞美はいつも夜日記をみるので今書いておこう。


でも始めの言葉が見つからない。


はじめまして?

こんばんわ?

単刀直入でいってしまうか?


數十分悩みながら筆を進める。


『霞美へ

はじめて手紙を書きます。

俺は霞美の中にいる人格です。

びっくりしてると思うけど今霞美の体を借りて書いています。

明後日この神社から出て他のところへ住もうと思っています。

自分の持っていきたいものをまとめておいてください。』


簡潔に書きすぎだろうか。

でも伝えたいことは伝えているからいいか。



夕食が終わり部屋に戻る。


霞美が日記を探す。


ごめんいつもの場所に戻すの忘れてた。


ぐいっと書いていた机に体を向けさせると

あった!と言って鉛筆をとり走り寄る。


俺の存在のことを知らせなくても

ここからは出れるがその先、新しいところに住めるとなった時にいざ霞美を起こしたとして

現実が受け入れられないと思ったからだ。


今日の日記を書くページを霞美が開いた。

どういう反応するだろうか。


「名前ないの?」


とポツリと呟く霞美。


日記に新しくないよと書き霞美に見てもらう


「うーん。じゃあかーくんて呼ぶね。よろしく!」


意外な反応すぎて困る。

存在は肯定してくれたが

霞美は出ることに賛成しているのだろうか。


「明日までに出る準備してくれますか?」


と日記に書く。



霞美はとても悩んでいる。

そりゃ今まで住んでいた場所から離れるのは霞美にとって嫌だろうが

霞美を守るためなんだ。

どうかわかってくれ。


「わかったよ。準備しておくね。」


霞美も嫌と思うこと多数あったのだろう。

守りきれなくてごめんな。


「ありがとう、おやすみ。」


そう日記を書いて霞美との初めての会話を終えた。


「おやすみ、かーくん。」


といい新しいページに日記を書いて

霞美は眠った。


新しいお友達か…。

どんな風に思われていても霞美を守るそれだけだ。

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