第3話 逃げ道

俺たちの朝は夜が明ける前から始まる。


霞美が起きれないときは俺が起こしてやって

準備をする。


外の掃除と中の掃除、誰よりも早く起きて始めないと霞美が殴られるから早く起こしてあげる。

それでも起きないときは俺だけで全部やる。

毎日早起きは大変だからな。

ゆっくり眠りたい日もあるだろう。


掃除が終わる頃いい匂いがしてくる。

それがご飯ができた合図。


俺たちはみんなが食べ終わって最後にいって食べる。

前はみんなで揃って食べていたがガキが嫌だといって俺たちはみんながいない時間に食べ、

みんなが置いていった洗い物を全てやる。


みんな一人ずつやっていけばいいものをなぜ一人にやらせるのか意味がわからない。


そのあと数時間は自由時間、

本当は学校に行ってみたいと霞美は思っっているが大人は手続きをしてくれなかった。

俺たちはいないものとして扱われている。


今日からは霞美は部屋にこもって本を読んでいる。

昼間はあのガキがいないから自由に動けていたが大人はいる。

昨日のことがあったから嫌になってしまったんだろう。


早くここから出ないと霞美の心が壊れてしまう。


霞美が本を読んでいるうちに俺はどうすれば外でも安全に暮らせるかを考えた。


まず家を見つけないといけない。

俺たちは旦那様が亡くなってからは外に出れていない。

だいぶ前の記憶ではここら辺家がなくて数十分歩いたところからポツポツと家があった。


でも近くの家ではここに返されてしまう。

もっと遠いところに行かないと。


一度電車に乗って出かけたことがあった。

お金はかかるが歩きよりは格段と遠くに行ける。


ガキの小遣いからお金をもらおう。

あいつは周りの大人に小遣いをもらっている。

あいつの財布はあいつの部屋の勉強机にはいっている。

廊下を掃除しているときにたまたま入れるのを見かけた。


いつ取りに行くかだよな。


今度あいつが小遣いをもらう日が俺たちが家を出る日。


カレンダーを見ると後3日でガキの小遣いの日だった。

お金をもらう日は決めた。


後は服やら持ってくものをまとめて

霞美に伝えるだけ。


でもそこが1番の問題だった。

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