第10話 八月十二日(月)天気:とても晴れ

 今日は早起きをして裏山の森へ行きました。迷子になるからダメと言われたけれど、家のすぐ近くだからと無理やり出てきました。悪い子になった気分でちょっとわくわくします。

 森でも気になることがありました。虫をとっているときに誰かに呼ばれた気がしてふり返ると、誰もいませんでした。

 おばあちゃんに話したら、鬼かもしれないと昔からあるいい伝えを教えてくれました。

 大昔、人と鬼はいっしょに暮していて仲良しでした。そしてあるとき、ケンカをして仲直りができないまま鬼は姿を見せなくなったそうです。けれど、子どもが森で遊んでいるときにだけたまに現れていたずらをするのだとか。

 いい伝えが本当なら、ぼくは鬼に会ってみたいです。鬼と友だちになって大昔にできなかった仲直りをします。そしたらまた鬼と人がいっしょに暮らせるようになると思います。

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