第7話
真っ暗な夜空に星が呑まれないように一生懸命光っている。
マコトさんのところでお世話になって数日、帰り方はまだ分からないでいた。マコトさんにはよくしてもらっているのに、情報探しまで手伝ってもらっていて本当に申し訳ない。
「考えごとしてるの?」
蓮が隣にやってきた。
「はい、これ、花奈とマコトさんが作っていたお茶。」
「ありがとう。」
花奈はおばあちゃんとの会話を思い出し少し赤くなってしまった。
「ん?どうしたの?花奈、顔が赤いよ?」
蓮が心配そうに見つめてくる。
「えぇぇっと!大丈夫!」
ますます顔が赤くなるのを隠すようにして花奈は呟いた
「帰りたくない。」
「え?」
「帰りたくない、ここで、蓮とショウとマコトさんとずっとずーっと一緒に暮らしていたい!!だめかな?」
蓮は遠くを見ながら言った
「‥だめだよ。」
そっと蓮は花奈の体を引き寄せた
「できる事なら離したくない、また一緒にいられて僕は幸せだった。」
「じゃあ、ずーっとここにいる。」
蓮は悲しそうに呟いた
「花奈はお母さんと仲直りしていないでしょ?そのままここで暮らしてもただ逃げてるだけ、ここで心から楽しんで過ごすことは出来ない。」
「うん。でも、蓮と離れたら私はまた失敗ばかりする、私には蓮がいないと生きていけない。」
「それはきっと僕じゃなくてもいいんだよ。僕にしか甘えていないだけ。他の人にも甘えていいんだよ。君は十分頑張っている。」
花奈は大粒の涙を流した。
(私は誰かに認めてもらいたかったんだ、結果じゃなく努力を。)
「ありがとう、蓮、大好きだよ。」
「僕も大好きだ。」
(私が言って欲しいことを言ってくれる、蓮は暖かい、この人を、私は手放せるのだろうか。)
花奈は蓮の顔を見た。
(無理だよ、私は向こうの国で一生独身だな。そういえば‥!!)
花奈は蓮体を離した。
「どうしたの?」
花奈は蓮を見下しながら
「蓮、他に女の人がいるのにこういうことしちゃダメでしょ!?」
蓮はポカンと口を開けている
「他の女?そんなの居ないよ?」
「ウソついたって駄目だから、ミツキさんとそういう仲なんでしょ?」
「ははははっ!花奈はかわいいな。ミツキは男だよ!」
「え!?」
「それに花奈以外の女の子のらことなんか考えられないよ?」
(いやいや、え?何サラッとすごいこと言ってるの?それに、ミツキさんは男の人?)
考えれば考えるほど笑いがこみ上げてきた。
「ふっはっはっ!私やっぱりバカだなぁ。」
その日の星空は1番きれいに見えた。
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