第8話
「分かったぞ!やっと見つけた。」
マコトさんが走って来た。手には何やら分厚い本を持っている。
「見つかったって、もしかして花奈とショウの帰る方法?」
蓮は前のめりになっていた。
「そうだ。この本に書かれていたんだ。」
ほっと息をしたのも束の間マコトさんが重い声で話始めた。
「花奈は何でこの世界に呼ばれたか分かる?」
花奈は首を横に振った
「分からない、何でこんなことになったのか。」
蓮は残念そうな顔をして
「僕はマコトなら何か知っているんじゃないかと思ったんだけど‥」
マコトさんは頷いた
「そう、なんとなく分かってたんだ。」
「え!?」
「あんた、首のにあるそのアザは生まれつきの物か?」
花奈は急にアザのことを聞かれ驚いた顔をした。
「はい‥‥生まれつきです。でも、このアザとこの世界には何か関係があるんですか?」
花奈は悲しそうな顔をマコトに向けた
「そうなんだ、君達はこのアザ何に見えるかい?」
「蛍!!」
蓮が即答した。マコトは蓮に頷いた
「ご名答!これは蛍なんだよ。」
花奈の頭にたくさんの“?”が浮かび上がった。その顔を見たマコトさんが呆れた顔をした。
「つまり、君の体にはこの世界の統治者、蛍が埋め込められているんだよ。」
「統治者‥?」
「あぁ、蛍はこの世界のいわば神様、君の住んでいる世界とこの世界を繋げることができる唯一の存在!」
蓮は納得した顔をしている。
「やっぱりそうか、一度だけ蛍の話を聞いたことがあったんだ。じゃあ、その蛍に会えば帰る事が出来るんだね。」
「やったーーー。帰れるんだーー。」
ショウが万歳をしながら答えた。
「待て、まだ話は終わってない。」
マコトは花奈をみつめながら複雑そうに話しはじめた。
「花奈、あんたが蛍になるんだよ。」
「え!?」
「蛍って言ってもちゃんと人間の姿をしている。蛍の能力でこの2つの世界を守るんだ。ただね、この力には副作用があって、力を使えば最後には必ず赤ちゃんになるんだ。」
「赤ちゃん?」
「そう、どんどん力が無くなって次の蛍と交代する時には赤ん坊になってしまう‥。」
すると突然マコトは短剣をショウの首にあてた
「ショウ、お前は蛍だろう?」
「‥‥‥。」
「蛍は次の蛍が生まれるまでは赤ん坊にならない。」
「‥‥‥。」
「つまり、花奈を殺そうとしたんだろう?」
「‥‥。」
「お前はどこから来たんだ?何が目的だ、なんで一緒に花奈といたんだ!?」
(え!どういうこと?そんな‥ことおかしいよ!)
「やめてっっ!!」
花奈は思わず叫んでいた。
「ショウ、そんなことないよね‥?私を殺そうとなんかしてないよね?」
ショウは俯いたままだ。
「だって、ショウは私の国から来たんだもん、それにショウだよそんなこと、考えるはずがない。」
「‥‥殺そうとした。」
「え?」
「花奈を殺したら俺はまだ生きていられる、赤ん坊になったら、記憶はリセットされ、能力も失う。なら俺はまだ蛍でいたかった。だから‥。」
泣きそうになるショウを蓮は抱きしめた
「でも、出来なかった?殺すタイミングならたくさんあったはずだよ。あの頭巾をかぶった2人組みも君のせい?」
ショウはコックリと俯いた。
「ごめんなさい、ごめんなさい、人を殺すなんて出来ません。出来なかった。」
ショウは大声で泣き始めた。蓮が赤ちゃんをあやすように優しい声で包んでいる。
「じゃあ、ショウは良い子だ。何かを失うなんてみんな怖いに決まってる。世界を今まで支えてきてくれたんだ。すごく立派なら事だ。」
ショウは蓮の胸で肩を震わせながらしゃくりあげていた。
「ご‥‥ご‥ごめんなさい‥。」
花奈はショウの頭を優しく撫でた
こんな小さな体でずーっとずーっと1人で世界を守ってくれたんだ。たった1人で。孤独で、どんなに怖かっただろうか
「‥ショウ泣かないで、今まで世界を守ってくれてありがとう。」
ショウは泣いて真っ赤になった目を花奈に向けて笑った
「花奈が次の蛍ならいいや。俺はもう大人しくするよ。」
マコトはそんな3人を見て微笑んだ
「じゃあ、花奈は蛍になるんだな?」
「はい!‥‥そうなんですけど‥どうやってなるんでしょうか。」
「それなら、俺に任せて。俺の手を繋いで別空間に移動するよ。」
「どこに行くの?」
「この世界の中心、蓮もマコトも来てくれ、少し急ごう、別空間に移動する力がもう少ししかない。」
花奈はショウの手を握った蓮もマコトも
「じゃあいくよー!目を瞑って!」
ピカッ
あの再び緑色の光で満たされた。
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