第2話自分は何人いるの?

「洋子、洋子、」


誰かが呼んでいるはわかった。


目をあけると母親が目に入った。


「目が覚めた??よかった、また意識がなくなったから心配したのよ。先生は奇跡的に外傷はないからと言っていたけど心配で・・・」



一番最初に目を覚ましてから丸一日がたっていたみたいだ。


今回は、はっきり目が覚めたというか、目覚めのいい朝みたいな感じだった。


「お母さん。。私。事故にあったんだよね」


「そうよ!!覚えていないの??」


「ん、右側に車が見えたところまでは覚えているんだけど」


「そうよ。もう連絡もらった時びっくりしたわ。ただね。外傷は奇跡的にないみたいでね。なんか歩道にある垣根あるでしょ、さつきなんか植えてある所、一回そこに飛ばされたみたいで、それがクッションになったみたいよ。本当運がよかったわね。お母さんヘナヘナになっちゃったわよ」


と複雑な笑顔を洋子に向けて話をしていた。


洋子は、自分が交通事故で死んだ夢を見ていたので、心配した母親に掛けるべき言葉がすぐには出てこなかった。


「心配かけてごめんね」


と自分の口から出たのは、時間にしてみれば不自然さがないほどだったが、洋子はなんか重い気持ちからようやく振り絞って出てきた言葉で、口と頭のアンバランスを感じていた。


重たい憂鬱とでも言うのか、なんか不自然さを感じていた。



それは退院してから現実になるとは、洋子は知るすべもない。


医者は、外傷ないものの、あたまを打っているので自宅に帰って2週間ほどは安静にして、それから最終検査にしましょうという話であった。


母親は、洋子に毎日付き添っていたが、加害者、保険の方、お見舞い客、来訪者が結構あり自宅にいるよりあわただしく動いていた。


入院は一週間程だったので、すぐに退院の用意をしたりと母親には申し訳ないと思って見ていた。


無事、自宅に戻り普通の生活にもどった。


というよりは殆ど健康体の洋子は暇を持て余していた。


病院からの指示は頭を打っているので様子見の2週間なので、別段不健康なわけではなく、よくありがちな、看病する側の一番厄介な健康な人のお世話。という感じになっており、そんな洋子を甲斐甲斐しく看病する母親に洋子は感謝をしていた。


だから母親に負担をかけじと、母親の言ううことはなんでも聞いていた。

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