04

辿り着いた先は山奥の研究所のような建物。

学の無い僕はそこで何日か何年か分からない時間をかけ、

本や書物を読み漁った。


平仮名と簡単な漢字を覚えておいて良かった。


辞書がある。


有り余る時間で少しずつ覚えた。

何が起きているのか。


僕は何なのか。









研究所には最初から誰もいなかった。

所々黒い壁や床、草があった。

触っても何も起きない。


少しだけ温かかった。

少しだけ、寂しさが紛れた。




やっと色んなものを覚えてレポートを読めるようになり、世間を知った。


世間からすれば なるほど 僕は確かに悪者だ。


セイギになんかなれやしない。



居るだけでワルイモノがくる。 生まれる 起こる。


科学でどうしようもないレベルらしい。



研究所には誰もいない。誰も来なかった。


僕はここで生活を始めた。


お母さんが願ったんだ。


おとうさんにはさいご、あえなかったけど、 お父さんも願ったんだ。



だから僕は生きないといけない。



     ・・・生きたい。




生きてこの病気を治さなきゃ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る