05



書物は腐るほどあった。


ある程度読めるようになったとはいえ僕の読む速度はひどく遅い。

暇を潰すように少しずつ読んだ。


電気も水道も止まっている。

読めるのは日中だけだ。


飲み物も食べ物もとっていないのに 起きて寝て、紙を捲るだけで…何故か生きている。

息をするだけの日々が過ぎた。


通信も壊れているけど。


時々何かが僕を殺しに来た。


僕を殺しに来る何かは 僕を覆うワルい何かが助けてくれる。



「ここに書かれている異常生命体ってこいつらのことだよな・・・。」


どの生物図鑑にも載っていないイキモノが 僕の周りにうじゃうじゃと蠢いている。


だが、僕にはまったく害を与えない。


進入してくるものを排除し、時に天候でさえ僕を守ってくれる。



これが  ビョーキ?








罵倒を思い返した。



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