03
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前代未聞の症例。
■20**年 3月 誕生したばかりの新生児から異常な数値が感知された。
体温、気温、気圧、湿度、電磁波、数値として観測できるものは勿論、重力でさえも酔う程に変化している気がする。
性別は男児のようだが全ての機械が上手く動かない。
注射器の針は近づけるだけで捻じ曲がってしまい、排泄物は母乳を与えた日だけ採取できる。
排泄物の検査結果は至って平凡な数値だった。
この新生児自身とその周囲に大きな歪みがある。
強い攻撃性も認められ、隔離が決まった。
隔離を決定した事件/
出産当日、新生児の異常に気付いた医師が検査をしようとした時。
注射針を向けた医師の手は黒色に変色した。
驚いた医師が距離を取ると新生児は大きく泣いた。
新生児が泣くと傍に大きな歪みが現れ、穴が開き、黒い…例えようのない生き物が溢れ出た。
生き物は触れたもの殆どのものを黒く変色させ、殺した。
駆け付けた警備員も警察も、武器を持つものは即死だった。
無抵抗な者は被害を受けていない。
自衛隊が出動したが突入した隊員は全滅。
後方の隊員が戦意を失い、武器を下げると生き物は攻撃をやめた。
自衛隊は撤退せざるを得なかった。
敵意を持った者がいなくなると、黒の生物は消えた。
親に隔離施設へ子を運ぶように指示した。
子を施設に入れた後、事故を装い施設ごと爆破しようとしたが
ヘリや飛行機が傍に寄ろうとすると天候が悪化し、飛行不能となる。
トラックで敷地に爆弾を運び入れた隊員は黒色に変色して死亡していた。
その日の施設には生き残りはおらず、詳細は不明だ。
国は攻撃を諦めた。
子は研究の名目で施設に残すことにした。
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居るだけで世界が歪む。
これは病気なのだろうか。
子が危険を感じると空間をゆがませ、異常生命体が次々と生まれる。
口留め不可能な規模の事件だったため、すぐに全国へ広まった。
あらゆる宗教団体が鬼や悪魔の子供だと声を上げている。
ただ、殺せるはずもなく、テロリストも入り込んだとしても行動前に死んでしまう。
敵意さえ持たなければ何も起きないため、周辺の数値測定と観察を継続して行うことになった。
■20**年 9月 力が増している。
歪んだ空間から噴出した未知の気体を吸引した研究員5名が体調を崩した。
研究名目で監視する事も困難になった。
隔離にも限界がある。
パニックを防ぐためにもこの事実は隠した方がいいだろう。
■20**年 5月 研究員3名が死亡。 2名が『変質』した。
ただの黒い死体ではない。
歪んだ空間から出てくる生命体のような 黒色で異常な形の凶暴な何かに変わってしまった。
この報告を受けてこの生物は総力を挙げて処分する方向に決まった。
■20**年 6月 失踪。
父親が連れ出したと思われる。 母親も消息不明。 緊急の対応をするも みつからず。
■20**年 1月 ---地方から異常気象が多発しているとの報告。
■20**年 12月 ---県の異常気象の件数が過去最大を記録。
■20**年 3月 パニックを承知で公開捜索を始める。
■20**年 3月 例の生物を発見。 処分しようとしたが、母親が妨害。 生物の行方は不明。
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