とある世界の桐香様
*本作はTechGian2019年8月号付録CDに収録されていたぬきたしドラマCDのオマージュ作品となります。ネタバレ?になりますので、忌避される方はブラウザバック推奨です
奈々瀬「全国の生ハメイトの皆さーん、パコんにちわー。アニメ『抜きゲーみたいな島に住んでる
桐香「生ハメイトの皆さま、パコんにちわ。SS代表兼水乃月学園生徒会長の冷泉院桐香です。奈々瀬さん、本日はよろしくお願いいたします」
奈々瀬「えぇ、よろしくお願いします、冷泉院さん」
桐香「ところで奈々瀬さん?少し、お伺いしたいのですが、この副音声というのは…私はどのような立場で、どのようなお話をさせて頂けばよろしいのでしょうか?」
奈々瀬「一応、アタシたちは今C世界から、B世界のアタシたちのお話を見ている、という設定らしいわよ」
桐香「まぁ、設定、ですか。ふふっ、わかりました。では、そのように振舞うことにいたしましょう」
奈々瀬「と言っても、特に決まりのようなものはないらしいんだけどね。ま、後の作品の重大なネタバレにならない程度に、色々な裏話も織り交ぜながらお話を振り返って行こうって感じらしいわよ」
桐香「なるほど。わかりました。ネタバレ、というものを意識することが私は苦手ですので奈々瀬さん、もしもそのような時には上手く導いてくださいね」
奈々瀬「あー…まぁ、確かにちょーっと苦手そうようね…会長は…」
桐香「しかし…流石は奈々瀬さんですね。全120巻はくだらないとウワサの本作のパーソナリティを務めるだなんて。これも本妻ゆえの役得でしょうか」
奈々瀬「役得……なのかしら?ドチラかと言えば罰ゲームに近いような…」
桐香「なんだかぬきたしそのものを寝取られたみたいで悔しイキしそう…」
奈々瀬「何で!?」
桐香「冗談です。」
奈々瀬「はぁ……やっぱりアタシ、冷泉院さん苦手なのだわ……」
桐香「あらあら、そんなこと仰らずに、今日は正妻と愛人、お互いに気兼ねなくお話ししましょう」
奈々瀬「いや…正妻になった覚えもないし、淳に愛人がいることにも覚えがないんですけど…」
桐香「あら……私、”誰の”正妻なのか愛人なのか、とは言ってませんでしたが……マイクを通して愛の告白ですか…ふふっ。流石は奈々瀬さん。いつも、その大胆過ぎるほどの行動力。私も見習わないといけませんね」
奈々瀬「あっ……あぁ…………~~~っ―!」
奈々瀬「やっぱりアタシ、会長と組むのはイヤなのだわーーーーっ」
桐香「どうしましょう…奈々瀬さんが冷たいわ…。私、また何か困らせるようなことを言ったのかしら」
奈々瀬「もう……アタシ、お嫁に行けないのだわ……」
桐香「そんなことはありません。奈々瀬さんでしたらきっと素敵な殿方とご結婚なさると思いますよ」
奈々瀬「そんな心配はしてないわよぉっ!!大体、アタシはっ――」
桐香「アタシは――?」
奈々瀬「危ない危ない…ますます墓穴を掘るところだったじゃない…落ち着きなさい、片桐奈々瀬!相手は会長、悪気はないのよ、うん」
桐香「きゃっきゃ」
奈々瀬「こうなったら、このパート…アサちゃんにお願いして淳から隠してもらうしかなさそうね……」
桐香「淳之介さんと麻沙音さんがどうされたのでしょう?私、大変興味があります」
奈々瀬「あぁあっ、ごめんなさい。もう大丈夫だからっ」
桐香「そうなのですか?ですが、何か私に手伝えるようなことがあるかも知れません。どうぞそのお話を聞かせて頂けませんか?」
奈々瀬「もういいから!ほら、それよりも次に行きましょ、次」
桐香「もうAパートは終了なのですか?残念です」
奈々瀬「はぁ……アタシ、今日の収録持つのかしら……」
桐香「というワケで始まりましたBパートです、皆さん」
奈々瀬「…っと、今回の第6巻では淳がB世界のSSと共にB世界の私たち―”トリ公”―をおびき出す為に、イベントの設営から実際にイベントをするまで、のお話よね?」
桐香「えぇそうですね、そして、この後は私のルートへ行く予定となっておりますので、私の過去について、先輩にお話する重要なパートとなっています」
桐香「ところで……本作『ぬきたし2』では序盤に、共通パートと私たち個別パートが交錯しながら物語が進んでいくのですが……郁子や礼はどうなってしまうのかしら」
奈々瀬「なんでも、人気アニメで8週連続でほぼ同じ内容を流した作品もあるくらいだから、アニメ化に際し少しだけ差分を用意してあと2回流しても大丈夫だろうって思ってるらしいわよ」
桐香「手抜き♡」
奈々瀬「いや、それ販促する側が言っちゃいけないんじゃないかしら…」
桐香「手抜きと言えば、この後に出てくるイベント、大脱膣祭で奈々瀬さんの貴重な”手抜き”シーンもありますね」
奈々瀬「触ってもいないのに、アタシの手で抜いたみたいに言わないでっ!大体アタシであってアタシじゃないからっ!」
桐香「ですが、こちらの世界でも同じイベントを開催すれば、きっと同様のケースが発生すると思われます」
奈々瀬「……考えたくもないのだわ。大体あんな大規模なイベント、こっちの世界じゃ開催は難しいでしょう?」
桐香「実際、あれだけの規模でイベントを開催しようと思うとSHOの協力無くして開催はないと思います」
奈々瀬「それに、視聴者のみんなが知りたいのはこっちのアタシたちじゃなくて、作品の世界なんだから、次、見ていきましょ」
桐香「本編では丁度、SHOから書類の提出を求められているところですね」
奈々瀬「うっわぁ…昔の百科事典数冊分くらいの厚みあるじゃない。あんなプリントの山をたった一日でって……明らかな嫌がらせよね、あれ」
桐香「えぇそうでしょうね。もし提出出来なければ私をはじめとしたBIG4の面々に能無しのレッテルを貼り弱体化させようと、或いはトップの交代も視野に入れての行動だと思います」
奈々瀬「なるほどねぇ……SSも大変なのねぇ……」
桐香「えぇ。ですので、奈々瀬さんのような優秀な方に入って頂けると非常に助かるのですが……」
奈々瀬「アタシ?アタシのこと買い被りすぎじゃないかしら?」
桐香「そんなことありませんよ。奈々瀬さんでしたらきっと、本作の淳之介さんのように性交女として、圧倒的な支持と力を勝ち取れるものだと信じております」
奈々瀬「はぁ…結局、ビッチとして、なのね…アタシ」
桐香「あら、では奈々瀬さんはビッチではない、と?」
奈々瀬「あのねぇ、知ってて聞いてるでしょ?アタシは――…ぶないあぶない、アタシがネタバレしてどうするのよ……」
桐香「あらあら、これはもう、実質ネタバレなのではありませんか」
奈々瀬「うぅ……何も言えないのだわ……」
桐香「あら…あぁ、申し訳ありません、ディレクターさん。そうですね。もう少し本編にちゃんと触れることにしましょうか」
奈々瀬「うぅ……会長と話してるとやっぱり調子が狂うのだわ…」
桐香「さて、本編ではもうすぐ淳之介さんとのハグですが……ハグ、というのはとても素晴らしいものなのですね、奈々瀬さん」
奈々瀬「そうねぇ…特に意識したことはなかったけど……抱擁力、なんて言葉もあるくらいだし、やっぱり包まれることへの安心感ってあるんじゃないかしら……よくわからないけど」
桐香「えぇそれはもう!私、あのような心地は初めてのことでした」
奈々瀬「淳はよく妹のアサちゃんとハグしてたりするし、最も簡単で効果的な愛情表現の方法でもあるわよね。会長は…やっぱり愛情だとか安心だとか、そういうものが欲しかったのかしらね」
桐香「そうかも知れませんね。誰かに受け入れてもらえるあの感覚は、何事にもかえがたいものだと感じました……あぁいえ、そうですね。相手が淳之介さんだったから、かも知れませんね」
奈々瀬「――会長は、冷泉院さんは……ううん、なんでもない」
桐香「あら?どうなさったのですか?なんでも聞いてくださいな。はっ…ひょっとしてさっきの淳之介さんへの愛の告白の続きですかっ!?」
奈々瀬「……なんで!?今の話の流れでそうはならないでしょう!?」
桐香「ふふっ、冗談です。ですが……そうですね。ネタバレ、というものに該当してしまうかと思いますので、明言は避けておきましょうか」
奈々瀬「……えぇそうね。ごめんなさい、ヘンなこと聞いて」
桐香「いいえ。私も気にしておりませんので、どうかお気になさらないでください」
奈々瀬「ん……」
桐香「……」
奈々瀬「……」
桐香「……」
奈々瀬「……あぁごめんなさい!3秒以上黙ってちゃいけなかったのよね、これ。なんでも放送事故になってしまうらしくて……」
桐香「今更その程度の放送事故を気にしてどうするのでしょう」
奈々瀬「珍しく会長と意見が合ったのだゎ……」
桐香「あら……そんなことを話してるうちに、問題の手抜きシーンですね、奈々瀬さん」
奈々瀬「だから、誤解を招くような言い方をしないでっ!?」
桐香「手を触れることもなくイカせてしまう、ビッチクラフトワーク……まるで手品のようです」
奈々瀬「版権が怖いからそのネタも使わないでくれる…?」
桐香「これは私たちも負けていられませんね。ここは私がSSを代表して手品を披露しなければ……」
奈々瀬「対抗するところだった……今?」
桐香「では、今からマイクを消失させてみせますので……先輩、消すとこ見てて」
奈々瀬「ラジオだから見えないし、淳も関係ないじゃない……というか、マイクを消したら収録出来な――」
クチュッ―ズププ……
桐香「――ぁっ…………メ………りも、大き………」
奈々瀬「にゃあーーーっ!!どこに入れっ!!ちょっと…………」
桐香「…ら………さ…。……なに慌て………され……」
奈々瀬「ダメダメダメーーー!!ストップ!!ストーーップ!!」
奈々瀬「…………えー……気を取り直して、Cパートでーす……あ…あはは」
奈々瀬「えっと、本日のゲスト、冷泉院桐香さんは諸般の事情により先に帰っちゃいましたので、最後はアタシ一人での進行となります」
桐香「あら冷たい。まだ居ますよ、私」
ガチャ―ッ
文乃「冷泉院さん!アナタというひとは……くどくど…むべむべ……」
桐香「はい……はい………どうも、申し訳ありません……」
バタン―ッ
奈々瀬「う‘‘ぅ‘‘ん……はい、というわけでアニメ『抜きゲーみたいな島に住んでる
奈々瀬「放送とドスケベはナマに限る、の精神で収録しておりますので……すこーし、重大なハプニングもありましたが……とにかく本日もそろそろお時間がやってきてしまいました」
奈々瀬「物語もいよいよ中盤に差し掛かろうかというところでは御座いますが、リスナーの皆さん、また次回、第7巻でお会いしましょう~……ではではぁ~」
シューベルト「今月のDickGianの付録、素晴らしいデータだったね」
水引「あぁ、あの『ぬきたし』ドラマCDのことかい?」
淳之介「ん?ドラマCD?」
シューベルト「おや?どうしたんだい、淳之介?珍しいじゃないか。君がDickGianのチェックをしていないだなんて」
淳之介「いや…?今月はマララブオーガナイズドが付録だったはずじゃ…?」
水引「何を言っているんだい?そんな付録は無かったけどなぁ?」
淳之介「どういうことだ……そんなの俺のデータにないぞ!?」
シューベルト「おい淳之介ぇ~、僕の決めゼリフを勝手にとらないで欲しいなあ」
水引「やんややんや」
淳之介「くそ……今月号は先にアサちゃんが読んでたということは…」
麻沙音「あ~やべぇ…おいお前デブなんだから兄にデバフくらいかけれるだろ何とかしろよ」
美岬「デブがデバフってそれ、全然面白くないですよ?麻沙音さん」
麻沙音「お前が言いそうな言葉に合わせてやったんだろうがあ~もういい、こんな親方を頼ろうとしたことがそもそもの間違いだった…どうすればいいどうすれば兄の魔の手から奈々瀬さんのお願いを守り切れる?」
凛「おや、童貞三銃士がマヌケ面揃えてまーたくだらない相談ですか?そんなヒマがあるならもう少し生産性のある人生を送ろうと努力してみてはいかがです?」
シューベルト「やぁ凛君じゃないか。なに、少し今月号のDickGianのデータについて意見交換していただけさ」
凛「あぁ、あの回収騒動でプレミアのついたヤツですか。いやぁ、あれは美味しい商売でしたね。あらかじめ会長から収録内容を聞いておいて正解でした」
淳之介「何…?どういうことだ?」
凛「今時インターネットを使えば炎上なんて簡単に出来ますからね。軽く火を起こしてやればあとは勝手に燃え広がって、おかげで仕入れ値の5倍で捌けましたからねふっひっひ」
蘭「こら凛。犯罪スレスレのお金稼ぎはやめなさいとお姉ちゃんあれほど――」
凛「あーはいはい、大丈夫ですよ。全部姉の名義と回線使って商売してますから」
水引「相変わらずド畜生だよね、花丸妹って」
凛「はっ!稼ぐための脳みそも持たない負け犬の遠吠えなど痛くもかゆくもありませんね!」
蘭「それにしても、橘さんともあろう人がDickGianのことを知らないなんて……」
凛「サカることしか能がないのに不能者ですか?そこらの猿の方がよっぽど生き物として真っ当ですねぇ!」
淳之介「何だと!っめぇ――」
麻沙音「そうか―っ!プレミア……これはもう売ったことにして泣いて謝るしかねぇ……!!奈々瀬さんの為に――!」
桐香「あら残念……先輩は私の手品をご覧になってないのですか?」
美岬「また話がこじれそうですねぇ……これ」
麻沙音「あ~もぅなんなんだよ…冷泉院さん私苦手なんだよぉ~…」
桐香「今ここで手品を披露するわけにもいきませんし……そうだわ、えぇ、そうしましょう」
桐香「先輩、少しよろしいでしょうか」
淳之介「あ、あぁ?――!!?」
桐香「んっ……ちゅっ……っ……くちゅ……ん……」
奈々瀬「なっ!!?なんで会長こんなところでききき……キスしちゃってるわけぇ~~!??」
麻沙音「あああ兄!どうしちゃったのどうしたの冷泉院さんとデキてたの誇り高き童貞のくせにドスケベの総本山ビッチの代表冷泉院さんと!!?」
美岬「これは……どういうことですか!?橘さん、説明してくださいよっ」
桐香「ふふっ……突然すみませんでした、先輩。私、アナタが欲しいんです」
淳之介「な……にを……」
桐香「私、あの収録ではかなり頑張ったつもりなんですよ?それなのに先輩は聞いていないだなんて…」
麻沙音「…………」
桐香「私、気づいたんです」
淳之介「気づいたって……何に……」
桐香「人は……いいえ、少なくとも私は、簡単には変われない、と。ですから先輩。アナタが欲しい、アナタが何を考えているのか知りたい……今まで私は粘膜接触を通じ相手を理解してきた―そして、お互いを理解して欲しいと思ってきた」
桐香「身体を重ねることで、より深くお互いを知り……そして、いつか私のことを知ってくれる人が現れるのだと……信じてました」
淳之介「それは……詭弁だ。愛の無いセックスなど――」
桐香「えぇ、先輩は貞操観念の強い方ですから……せめてキスで伝えられないかと……」
淳之介「……」
それは不器用な少女が唯一相手を知るための手段であり――
一方で相手を想うからこその、精一杯の譲歩
色欲ではなく、ただ純粋に愛情を求めるキスはしかし、結果として淳之介にとっては正しいキスだった
桐香「先輩……ぎゅーっと…………して、いただけませんか?」
何故彼女は…桐香は俺を求めるのか…
何故俺は…これほど桐香に惹きつけられるのか…
それは恐らく…
淳之介「――あぁ……そらっ」
ギュッ――
お互い、心の底から知ってもらいたいのだ、繋がっていたいのだ、許されたいのだ
幼き頃の傷を…誰にも見せられない弱さを…ただこうやって、抱き合うことで安心出来るのだから――
桐香「はぁぁ~~っ……やっぱり先輩のハグは、とても素晴らしいものですね」
淳之介「……そうか」
桐香「えぇ…これで明日からも頑張れます……ですから……これからも……先輩」
桐香「愛してます――」
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