第12話 ワルキューレ(2)
(1)
「とどめを」というソニアの指示を聞きつけ、虎のバケモノが再びリョウに正面を向けた。リョウは無意識に身じろぐ。
今にも飛び掛らんとする“虎”を前に、為す術を失ったリョウは、来るべき痛みと絶望に当面堪えるべく、強く目を閉じた。そう、背中を丸めて目を強く閉じ、両手両足を力いっぱい竦めると、少しだけ、強い痛みに堪えられることを彼は知っている。
ところが、来るべき足音も痛みも無いどころか、代わりに強い闇魔法分子の波動と砂の崩れる音がしたので、リョウは再び目を開けて確認しなければならなくなった。そこで漸く気付けたのだが、顔を上げたリョウは、殺気にもよく似た視線に射抜かれていた。
「お前は亀か、この低能」
ぐさりと刺さるこの言葉の棘は、しかし、リョウには少し懐かしい。少し拓けた彼の視界に、切り刻まれた砂の虎と血塗れのセイが立っていたのだった。
「防御が素人(シロ)だ。足にきてんだよ、グズ」
セイは兄と間全く目を合わせず、結合し始めた虎を見ていた。リョウも見慣れたその仕草は、記憶喪失以前のセイのものだ。
「お前、記憶が戻ってるのか?!」
リョウは恐る恐る尋ねた。
「は? さあな」
成程、素っ気無い。これは記憶が戻っているのだろうとリョウは判断した。
セイが剣を鞘に収める――これはリョウが良く知る彼の攻撃呪文の合図だ。
『闇属性魔法球(コズミックダスト)!』
先程と同じ攻撃魔法であるが、セイの詠唱と同時に、彼の両手に黒い閃光が走り、辺りには漆黒の霧のような闇属性魔法分子が立ち込めた。それらは結合し、結晶化すると、強い負のチカラを放ちながら瞬く間に爆発した。
この爆発に巻き込まれた虎の砂人形は、やおら魔法分子間力を失うと、跡形もなく消滅してしまった。
「すっげえ!」
リョウも弟が繰り出した魔法に思わず息を飲んだ。何度かセイのこの攻撃呪文は見たことがあったが、こんな威力は無かったはずだ。
「(これが、セイが記憶を失って得たチカラなのか)」
魔法使い(ウィザード)に憧れてはいたが、羨ましさを感じなかったのは何故だろう――とにかく、セイの傷の治療を急がなければならないと判断したリョウは、回復呪文の詠唱を始めた。
「う……っ!」
回復呪文(ヒール)を発動して間も無く、セイが地面に膝をついた。貧血から来る頭痛なのだろうか、彼は負傷した胸や腕や肩口ではなく、頭部を押さえていた。
「セイ、大丈夫か?」
リョウは足の震えを忘れてセイに駆け寄る。
「バケモノは?」
自分が今何をしたのかさえおぼつかない程、セイの意識は朦朧としている。あまり喋らせない方が良いと思ったリョウは、小さな希望を口にした。
「大丈夫。もう絶対現れない」
少しは弟を安心させてやれただろうか、リョウとしては不確かなままだったが、セイはそのまま気を失ってしまった。リョウは念のため、もう一度回復呪文を重ねた。
このやり取りの間、いつでも攻撃はできた筈だが、ソニアからの攻撃は一切無かった。ただ、先程まであった彼女の不敵な笑みは消えてしまっていた。
「(まさか、ランダの子孫が“闇魔法分子”を扱うなんて)」
セイの攻撃呪文を見たソニアは、正直、悪寒さえしていた。
そもそもランダの子孫の存在そのものが魔王軍にとっては計算外である。今はまだまだ青いが、これからいよいよ厄介になってくるだろう。ソニアは、本日何度目かの溜息をもう一つついてしまった。
「気が済んだら帰ってくれよ」
弟の治療を手際よく済ませたリョウはソニアに声をかけた。
この女ならば、こんな大掛かりな事をせずにランダの子孫を抹殺することぐらい出来ただろう。最早リョウにだって、彼女の目的がランダの子孫の抹殺ではないことに気が付いていた。
「気は済んで無いわ。今此処にいる光の民共もそれに加担する闇の民も皆殺しにしたいっていうのが私の本音だもの」
さらりとそんな事を言ってのけたソニアから表情が消えた。言い慣れた台詞を棒読みしているようで、たいそう不自然である。構わず、彼女は何やら機器を取り出した。
「今日は貴方達の力量を測りに来たのと、多少痛めつけに来ただけ。セイって子の力量はとりあえず分かったんだけど……貴方は本気じゃなかったでしょう?」
ソニアはそう言うと、ゆらりとリョウに近付いて確認した。
「それとも、本当にあの程度なのかしら?」
リョウは反論できなかった。
ソニアの指摘する通り、リョウの魔法量は、どういうわけだか、セイの絶対値よりはるかに劣っている。
盟約前は、魔法に関しては兄弟間でも殆ど同じ力量の筈だったのに――あの盟約は失敗だったのだろうか、とリョウの脳裏に嫌な予感が過った。ただ、彼も盟約を経て、魔法結晶のイメージと発動する魔法の効果はだいぶ一致してきたと思うのである。しかし、セイはそれをはるかに凌ぐ勢いで、扱う魔法分子の量も、魔法の効果も上がっていたのだった。しかし、“闇”属性魔法分子の使い手として。
「まぁ良いわ。私には関係のない事よね。でも、魔王勅命軍は必ず手を打つわよ。覚悟しておくのね」
ソニアは笑ってみせた。しかし、茶番なら茶番で、リョウは言ってやらなければ気が済まないことがあった。
「一つ教えてくれ、」
リョウは、ソニアの余裕が許せなかった。
此処セラフィネシスでは、ソニアが撒いた赤い花の「毒」で多くの光の民が死に、多くの人々に悲しみと怒りを与えた。彼女の余裕や心無い言葉の一つ一つが、彼等や彼等の人生をあからさまに弄んでいる。そして、彼女はそれを楽しんでいるかのように見えるのだ。
「お前ら魔族って、何で人間目の敵にするんだよ?」
ソニアはリョウを睨んだ。それに対して、リョウは挑発しているつもりはなく、率直な感想を伝えたまでであるので、睨むというよりは見据えていた。ソニアはそれが気に入らなかった。
「こちらが悪いみたいな口ぶりね?」
ソニアの目つきが変わった。リョウは刺すような殺気を感じ、思わず息を呑む。
(2)
その瞬間だけなら、あのフィアルよりも強烈な殺気である。身を竦めてしまいそうになったが、「勇者」ならば怯んではならない。彼女に負けじとリョウも声を張り上げた。
「セラフィネシスの人間が一体何したって言うんだ? この花の毒の所為で、何万人もの罪のない人間が死んだ。目の敵じゃなければ何なんだよ? 愉しんでんのか?」
考えれば考えるほど理不尽で仕方がないリョウは、怒りのあまり恐怖も忘れていた。怯む様子もないこの“勇者”に興味を持ったのか、ソニアの凄まじい殺気に呼び出されて時折鈍くスパークしていた周囲の闇魔法分子が、少しずつ落ち着いてきた。
「そうね」
ソニアからの意外にも淡白な返事に、リョウは逆に面食らってしまう。
「そっか。貴方の周りの裏切り者の闇の民は、何にも教えてくれなかったのね」
そう言って、突然ソニアがケラケラと笑い出したので、リョウは余計戸惑う。
「じゃあ、私が教えてあげる」
そんな前置きを入れて、ソニアは続けた。
「貴方のご先祖・ランダがリノロイド様を封印した直後、光の民は、……こんな風に私たち闇の民を殺してきたのよ」
――罪のない闇の民を、何万人も、理不尽に、卑劣な方法で。
「え?」
リョウは絶句した。
「人間が魔族を? 何で? 何の為に?」
ランダが魔王を封じた事によって、境界線も永きにわたる停戦時代の通り、
(北の大陸は人間のもの、南の大陸は魔族のもの)
に再度改められ、元の秩序が構築された――そう、リョウは教えられていた。
「私の住んでた町はね、光の民に毒ガスで廃墟にされちゃったの。父も母も友人も、……大切な人は皆、死んじゃった」
ソニア笑って見せた。ズキン、とリョウのココロが痛んだ。
そう、リョウ達は何も知らされずに生きてきた。
曽祖父ランダは、確かに光の民の大地サンタウルスには平和を与えたのかもしれないが、闇の民の大地・サテナスヴァリエには混沌と破壊――光の民による専制と隷従、圧迫と偏狭をもたらしていたのだ。
「まだ可愛いものでしょう? 花に囲まれて死ねるんなら」
強い風に、赤い花が激しく揺れている。この花は、ソニアからの手向けの花なのだろう。リョウはとうとう言葉を失ってしまった。
(3)
戦いに勝利した光の民の一部は、魔王が封じられている事を好機とし、魔族専住地に南下し、民族浄化の名の下に私利私欲を追求していたというのだ。
「私の方が聞きたいところよ。何故、光の民は揃いも揃って私達を滅ぼそうとするの?」
そんなことを言って首を傾げて見せたソニアの微笑みが、リョウには辛かった。
「オレ達は別に、魔族を全滅させたいワケじゃ……」
少なくともリョウは。でも、セイはどうなのだろう? リナは? ウルヴィスは?
「所詮、貴方達光の民には、光の民を幸せにする事しかできないわ。それが“勇者”ですって?――本当、畏れ多いわよ!」
そう言い棄てたソニアは、外套を翻した。リョウやセイよりもずっとずっと長いスパンで戦いを見つめてきた彼女の理論は成熟していた。戦う自分を肯定する為の大義名分だ。そしてそれは、動かし難い現実に基づいているし、現実そのものである。だから、彼女の笑みは何かを諦めた時の、あの笑みだ。
「ランダだって、世界平和を謳ってたくせに、結局失敗して、再びこの戦いが始まったんじゃない」
それはリョウ達にとっては痛烈な嫌味だった。しかし、どういうわけだろう、これはセイが数日前に口にしたフレーズと全く一致している。
「貴方の言うとおり、光の民への実力行使を愉しんでいた頃もあったわよ。これで両親や友人達の無念が晴らせた、って。その時は私だって、まるで”勇者”にでもなったみたいな気分だった。でも、」
ソニアは一つ、息をついた。
「報われるどころか、何も変わりはしなかったわ」
彼女だって悩み、苦しんでいたのだ。どうすれば、戦いや復讐の連鎖が途絶えるのかを――
「(それじゃあ、)」
リョウはふと気がついた。
セラフィネシスにやってきた当初、罪も無い人々に非道な仕打ちをした魔王軍、ひいては闇の民に強い怒りを感じた。正義とは、闇の民を滅ぼすことなのだろうと勝手に解釈しもした。
「(この人は、オレ達と、同じなんだ)」
リョウの中にあったソニアや魔王軍への嫌悪感が拭われていく瞬間だった。しかし、
「でも、仕方ないのかもね」
――しかし、ソニアはそこで悩みを放棄していたのだ。
「え……」
少なからず、リョウは困惑した。
「私達の平和は光の民を根絶やしにすること。貴方の目指す平和は、私達を根絶やしにしなければ手に入らない」
「それはさせない!」
強い口調でリョウが割り込んだ。それ以上言って欲しくなかったのだ。これ以上彼女に言われると、できないことを認めなければならなくなりそうで。そして、自らも同じ轍を踏みそうで――リョウのその剣幕に、ソニアは思わず言葉を呑みこんだ。
「ただの意地とか、虚勢とかじゃなくて、オレ達は、本っ当に終わらせたいんだ。今は、どうすりゃ良いのか、よく分からねェケド、少なくとも……」
ソニアは長い黒髪に指を通す。そして、リョウから目を逸らした。構わず、リョウは続けた。
「……アンタの不幸が報われるようにするさ。」
「え?」
ソニアはもう一度リョウを見た。リョウは胸に手を当ててそう「宣誓」したのだ。闇の民である彼女に向かって。
「多分、それがオレ達の“使命”だから」
リョウは明護神使やセイの言葉を思い出していた。本当に世界を変えようとするのならば、「一切の観念を洗い流さなければならない」。
ふと、ソニアの笑う声が聞こえてきた。
「貴方、戦うの止めたら? 私が言うのも何だけど」
そんなに滑稽な話だろうか、彼女はさもおかしそうに笑うのだった。
「貴方達が例え、共存を目指すとしても、私達は……」
彼女は言葉を止めたが、光の民が犯した罪を、闇の民は決して許しはしないと思うのだ。失われた命はもう二度と戻らないのだから。だからこそ彼女は、そして彼女の仲間達は、人生を報復に費やすことを決めたのだ。誰に恨まれようとも、誰に罵られようとも、誰に畏れられようとも――懇意な部下ほど自分の為に、進んで人間を殺しに赴く。そして、それを尊び、殺戮の成功を喜んでくれる。誰もそんな残忍な性格の持ち主では無いのに……そうして部下達までもが光の民から恐れられ、恨みを買ってしまうのだ。もう、それにすら妥協するしかなくなっていたのだ。
「でも、虚しいじゃないか、そんなの」
殺意を持って生き続けることなんて――リョウは強く目を閉じた。
“お前のようなクズは死んでしまえ! 死ね! 死ね! 死ね!!”
リョウは一度強く首を振る。ソニアは俄かに陰の差した少年の真っ直ぐな瞳に、あえて釘を刺しておいた。
「それが戦争よ」
それも諦めの言葉だった。どんな不条理もこれ一つで解決できる。だから戦い続けられた。殺戮の為に、多くの光の民と接してきた彼女も、全ての光の民が所謂「悪」では無い事などはよく心得ていた。“親の仇”――そう言って彼女を殺しにやってくる光の民にだって、何度も出会った。その度に空虚と恐怖に晒された。しかし、これは戦争だ。戦う為の大義名分を造らねば、殺戮なんて出来ない。そう、彼女は思っていた。
「でも、」
と、この目の前の光の民は幼稚なまでに食い下がる。
「貴女だっていつかは戦争を終わらせたいんだろ? だからこうやって、命をかけて戦っていたんだろ? それなら、オレ達と同じじゃないか! それなら、分かり合えないものでは、無い筈だ!」
「……青いわね」
かつての自分も、そんな世界を夢見たことがあった――夢から覚めることを悟ると言うのなら、悟ることは諦めることと何が違うのだろう。
「同情してくれてるの、勇者サマ? 光栄ね」
この光の民の少年が、彼女の痛みの何が解るというのだろう。中途半端な同情ならば、逆に腹立たしい。ところが、目の前のこの少年は何だかとても苦しそうだったのだ。それはそうだろう。この幼い少年達は闇の民を「悪」だと教え込まれ、彼等もそう思い込んで生きてきた筈だ。ランダの子孫は光の民の人柱。光の民さえ守っていればそれで良い。
「(全ては光の民を背負って戦わせる為に、か)」
一体何度目だろうか。ソニアはまた一つ、大きく溜息をつく。自分もまた、闇の民だけを背負わされているだけだと思い知って。
「じゃあ、やってみせてよ」
同情してしまったのかもしれないな、とソニアはリョウに背を向けた。
「私が言うのも何だけど……一度だけ、貴方達に期待してみるから」
「ソニア……有り難う」
「次合う時までに、少しは擦れておきなさい。辛いわよ?」
背中越しに、ソニアはリョウに手を振る。
ソニアと話した事、彼女と話して感じた事――これは決して忘れてはならない、とリョウは思った。
「(一体、本当に戦いを終わらせる為に、誰が何をするべきなのだろう)」
この問いは、これから先も、絶対に避けては通れない命題となる。
(4)
「あ! リョウとセイが帰ってきた!」
ウルヴィスが声を張り上げた。
「なんか久しぶりィだな、二人共」
疲労の為、声を張れないリョウが、何とか手を振って応えた。
「何だい。仲良くボロボロじゃないか」
リナが少し笑って溜息をついた。
「コイツに甲斐性があったらここまでならねぇよ」
兄に支えてもらって何とか歩ける状態のセイは、決まりが悪いようで、リョウを少し睨んでみせた。
「だって誰かさんが土壇場まで魔法ど忘れしてたもんな」
確かにこの弟がいなければ瀕死の重傷は負っていたに違いないリョウも、決まりが悪いためか、セイを少し睨んでみせた。
「殺すかマジで」
「やってみろコラ」
このように険悪になる双子達をなだめつつ、
「まぁ二人共落ち着けよ。あのソニアから無事に帰って来られたんだから。それだけでも大したもんだよ」
ウルヴィスは興奮気味にそう言ってくれた。
「当たり前だ。戦っていないんだから」
セイはぼそっと呟いてやった。彼は朦朧とする意識の中で、兄とソニアのやり取りを聞いていたのだ。しかし、それと知って兄を責める気にはなれなかったが。
「戦ってない?」
ウルヴィスは首を傾げる。
「ま、良いじゃん。ソニアは帰ってくれたんだし」
リョウはニッと笑う。近く行われる予定だった魔王軍による入植を白紙に戻す用意がある、とソニアは教えてくれたのだ。それだけでもセラフィネシスにとっては良いニュースになった。
「さて、帰りますか」
とのウルヴィスの声で、リナは鳥に戻った。
「ウルヴィス、悪いけどもう一日泊めてもらえない?」
「ああ、傷が癒えるまでいればいいさ」
ウルヴィスは火炎銃を背負い直した。
――その時だった。
「何だ?」
突然、大きな地割れの音が響き、地面が大きく揺れた。暫く、地震のような振動が続く。
「オイ、あれを見ろよ!」
やっと収まった激しい大地の揺れにほっと息をついたのも束の間、ウルヴィスが興奮して指差した先には、例の小さな赤い花。しかし、赤い花はみな一様に萎み、皺になった花弁が花粉を封じ込めたため、“毒”を吹きようもなくなっていた。
「小さな赤い花が萎れてる……全部?」
ウルヴィスはあちこち確認してみた。が、間違いなかった。
「こいつら、闇魔法分子で灼くとすぐに萎むんだって」
ソニア曰く、彼女の故郷のように、数百年先まで毒の引かぬ土地にだけはしたくなかったのだそうだ。
彼はマスクを取った。平和なんて、懐かしいフレーズ……思わず、リョウとセイの肩を抱いた。
「本当にありがとう、リョウ、セイ!」
その声は歓喜に溢れていた。きっと、ソニアを討ってもこの笑みは無かったであろう、と双子達は思う。
「良かったな、ウルヴィス」
リョウはウルヴィスの肩をポンとたたいた。セイも口元を緩めた。
「あれ?」
何やら紙が空から降ってきたのだ。それに気が付いたリョウが、舞い降りてくる紙を手に取ってみた。
「!」
リョウはその紙を折りたたんで、大切に懐にしまい込んだ。
「おい、そろそろ行かねぇと、日が暮れちまう。早く帰って、街のみんなに報告しなきゃ!」
ウルヴィスが先頭を歩く。セイがそのすぐ後に続き、リョウは更にその後ろから追いかけるように歩いた。
「ソニア……つくづく、良い奴だよな」
リョウは空を見た。風も止み、曇一つない空を――その紙切れにはこう書いてあった。
***
“勇者の道は険しい。餞別代わりに”
***
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