おはなし ひとひら:3 航空灯火

夜の観覧車で一人

光ばら撒かれた街を見てる


ビル群に点る赤色が

瞬きここに居るよと叫ぶ

海挟んだ向こうの空港

橙色が瞬いてここだよと呼んだ


赤色が瞬いても

飛行機は避けていくだけ

橙色が瞬いて

飛行機は滑走路に降りてゆく


点った赤はそれでも

私はここよと叫ぶ

貴方に気付いてもらうために

近づいてはくれない貴方に


ゆるり降り始めたゴンドラから

夜海に赤の灯を望む

叫び瞬く光は波に紛れて

闇の中に溶けていく


頬を滑り落ちた涙のように




―― ちかちか



「vertige」様(現在は閉鎖)の「擬音・擬態語で5つのお題」を元に。

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