ランタン光る

陽はもう落ちているのだと

気付いたのはいつだったか


辺りを見ても影ばかり

向こうへ続くはずの道も

今まで歩んできたはずの道も

薄闇に隠れて見えやしない


月よ星よと仰いだところで

空の向こうは遠すぎて

白がちらりと瞬くだけ


必要ないよと嫌がった

あの古びたランタンは

一体どこにしまっただろう

背負ったリュックは膨れて

指先が見つけるのはゴミばかり


見つけたのは

自分の輪郭すら闇に溶ける直前で


だからおかしなことじゃない


照らし出された僕が

涙を流しているのに気付いたって

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