浮舟

白い舟が空を行く

紺青の幕を世界に落としながら


ほろほろと光を零しては

鈴虫に時を告げる

風にはするり

冷たさを一筋混ぜ込んで


琴や白鳥が明るく散らばるも

夜空はやはり

どこまでも深く果てなく

白い舟だけが切り取られたかのよう


まるで私みたいだと

呟いたところで


涼やかに風が笑うだけ

白い月は冷ややかに

ただ秋を呼ぶだけ


君のことなんて知らないと

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