メルト

聞こえる鼓動と掠める吐息

滴り落ちた汗はお腹で跳ねて

滑る指が背を掻いた


月はもう

西に傾いているだろうか

投げようとした瞳はけれど

塞ぐ唇に阻まれる


重ねた身体に響く

二つの鼓動が 熱が

私の輪郭を崩していく


背筋を駆け抜ける感触に

私はひび割れて

中から溢れたのは

私なのか

それとも貴方なのか


異なる熱を重ねないと

溶けることすら出来ないだなんて

自分を無くすことすら出来ないだなんて


何て不自由

けれど何て 幸福なことだろう

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る