暮れなずむ街

見上げる先は未だ青

西隅を焦がしている筈の太陽は

切り取られた空には居ないまま


夜闇を待つ私の横を

昼の終わりを嘆きながら

誰かが家路を急ぐ


壁折れた影は背中に張り付き

電灯が夜待ちの旋律を歌う

暗闇まであと幾つ


小さな空はそれでも尚青く

端にやっと赤を刷いたばかり

紫群青 待ち焦がれるのは黒

夕方は長く 夜まで遠い


太陽は私を白く灼いて

正しく清くと叫ぶから

昼の街は息詰まる

月の静けさ闇の安らぎを求め

だから私は夜を待つ


名も知らぬ花か

咲き初めの甘い香を乗せて

涼風が頬を撫でる

大丈夫もう少しで夜よと


見上げた空はようやく闇に沈み

そして太陽が最後

消えゆく悲鳴を上げた

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