猫と僕
ひらり 路地を右曲がり
壁の向こうに姿は消えて
ちょっぴり尻尾が見えただけ
するり 腕の中から逃げ出して
僕の掌を引っ掻いては
可笑しそうに走り去る
君はどこ? 追いかけたって
視線の先に黒尻尾が揺れるだけ
捕まえた! 抱きしめたって
すぐに君は消えてしまう
いつしか住み着いた黒猫は
気まぐれで捕まらなくて
てんてん 残る足跡追って
僕は君を追いかける
手の甲に残った傷は痛み
走り続けた息が詰まる
君の影すら掴めなくて
足を止めそうになるけれど
君は振り返り僕を見据える
金の瞳で真っ直ぐに
追いついてご覧って
だから震える足でもう一歩
手を伸ばしてあと少し
逃げる君を僕は追う
きっと一生捕まえられないって知っていても
“馬鹿な子だね”
“足元残した道もご覧”
耳をかすめたのは君の声だったのかな
そして僕は そっと後ろを振り返る
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