新しい仲間5

「この人数倒すとか、何者なんだよ」


 倒れていたのは約15人。この人数を一撃なのだからめちゃくちゃ強い。近くにいた人は、この光景を見ているので誰も近づかない。


「ここはスルーだな。今戦ってもメリットがないし、うちのチームに勧誘するために、トーナメントに出てもらわないとだからな」


 ここはスルーして、他の所に行くことにする侑。すでに人数は30人程にまで減っているので、すぐに終わるだろう。


 案の定、すぐに試合は終わり、残ったのは侑、槍使いの女子、そのほかは剣士が1人、斧使いが1人、だった。


 その後、第四試合も終わり、16人全員が、確定する。剣士が5人、斧使いが5人、槍使いが3人、ナイフ使いが2人、魔法使いが1人が、トーナメントに進出する。


「結局あの女子は何だったんだろう」


 ぱっとしない出場者がほとんどの中で、1人圧倒的な強さを誇っていた槍使いの女子。誰もが注目していたのは言わずとも。侑は話しかけようと思ったが、諦めた。女子の目が死んでいたからだ。


 それに気づかず、話しかける人もいた。しかし、その女子には聞こえていないようだった。話しかけた側からすれば、完全に無視されたように思える。周りからすれば、優しく声をかけられているのに無視をしている生意気な女子。明らかに評判が落ちていた。


「そろそろきれて襲う人とか出てきそうだな」


 侑が予想したとおり、槍使いに3人の男達がナイフを持って近付いていた。他にいる周りの人間は、その事に気付いていない。侑は、魔法で助けようとするが、人が他にもいるので、使うことができない。そろそろ男達が襲おうとした、その時


「「「ぐっ……」」」


 3人が1度に倒れ、一時騒然となる。周りの人はなにが起きたのかは分かっていなかったのだが、侑には見えていた。3人とも槍の石突いしつきで刺されていたのだ。もちろん槍使いの女子に。ちなみに石突というのは、簡単に言えば、槍の下の部分のことだ。


 あまりに速くて、侑以外は、刺された本人でさえ、気付いていなかった。


「結構攻撃的だな。けど、まだ若いから対応に慣れてないだけの、一匹狼って感じだな」


 周りからの印象は良くないが、若いから慣れてないだけという結論を出し、その時に決まっていたトーナメントの相手を確認する。


「一回戦はアルバートか。多分盾と剣を使ってた奴だな。そういえば、あの女子の名前はシャルクって言うんだ。反対側のブロックだな。まあ決勝まで上がってくるでしょ」


 トーナメントは、次の日の昼からで、そこで優勝者が決まる。トーナメント進出者は会場のすぐ近くにある宿で、無料で泊まることが出来る。グレード的には、普通に泊まれば15S位の値段がする位のグレードだ。ここで、明日に備える。


「明日も試合だしもう寝るか……ふあぁ~」


 次の日の朝、侑は武器屋に来ていた。


「杖貰ったし、なんか2人にプレゼントしたいな」


 杖を貰って、レイナとエレンには、なにもお返しを出来ていない。本人達はお返しなどいいと言っているが、何かお返しが出来ないと、侑自身が落ち着かない。なので、武器屋に来ていたのだ。


「見た感じ2人共完全に初期の武器だったはず。今後も少なくとも武器の種類を変える事は無さそうだから、弓とグレードソードだな」


 店の中を歩き回り、弓もグレードソードも見つけたのだが、金額が高く、とても買えそうにはなかった。


「今は買えないけど、大会の賞金があれば余裕で買える。なんとしても大会で勝とう!」



 昼になり、出場者が会場に集まる。侑は2番目の試合で、シャルクは5番目の試合だ。


 一試合目のナイフ使いと斧使いの戦いは、斧使いがナイフ使いの動きについて行けずにナイフ使いの勝利。次は侑の試合だ。

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