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「さて、フユトくん、行く前に言うことがあります。」
「はい、!」
「戻れるのは1日デス。そのまま居たいと思っタラ、心の中で、生きたいと言ってくだサイ。居たくないと、思っタラ、僕の名前を何回も呼んでくだサイ。わかりマシタカ?」
「……ねぇ、こまくん、もしそのまま居たくなって、居ることにしても、また会える??」
「ソレハ……。」
こまくんは少し考えてから俺に話してくれた。
「フユトくんが、居ることにする選択をした場合、ここで過ごしたキオクはなくなっています。ダカラ、会えるか、分からないケド…。」
「そっか…。分かった、覚えておくよ。」
「では…。」
「こまくん…?」
明るい青色の目になり、模様が浮かび上がる。
「さぁっ、ぼーっとしてないで、僕の手を握って!」
こまくんの手を握る。
「我に力を与えたまえ。思いを届けるために。」
眩しい光に包まれ、俺は意識を手放した。
チリーンという鈴の音が聞こえて目を覚ますと、そこは屋上だった。そうか、俺はここから飛び降りたんだ。
もう、あと一歩踏み出せば落ちていく。
「冬斗!冬斗!!」
後ろを見ると、そこには何故かお母さんが居た。
どうして、俺が落ちた時には居なかったはず。いや、居たのかな…?
「お母さん、?」
「冬斗、こっちに来なさい!」
泣きそうな、怒っているような顔で俺に言う。
「もう、辛いんだ…お母さん。」
「はやく、こっちに来て!」
お母さんは、俺の目をしっかりと見ている。
「………」
「来ないなら、私から行くよ?!」
「お母さん、危ないから…っ!」
「じゃあ、冬斗こっちに来てっ!!」
俺は何も言わず、お母さんの元へ歩いていく。
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