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私の家族は、お父さん、お母さん、お兄ちゃん、私、弟の5人家族だった。
あとは犬の、こま。
私たち家族は近所の人達から羨ましがられるくらい、仲が良かった。
ご飯は毎回5人で一緒に食べたり、休日はドライブに行ったり。
ほんとに楽しかった。
「こま〜!!あははっ、やめてよ〜!!」
わふっ、と吠えるこま。やめないよ〜って顔で。
こんな幸せがずっと続けばいいのにな。
でも、そんな幸せはいつまでも続かなかった。
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ある日、家に帰ると、こまが倒れていた。
「こま…?!こま!どうしたの?!」
触ると、こまは冷たくなっていた。
「ごめんね、ごめんね、一緒に居てあげられなくてっ、」
老犬だったから、寿命を全うしたのかな。
こまは安らかな顔をしていた。
こまは私たち家族の癒しだった。
こまが居なくなってから、お母さんとお父さんは怒りっぽく、そんな2人が嫌なのか、お兄ちゃんはあまり帰って来なくなった。弟は、ずっと部屋に引きこもり。
こまが居なくなった事によって、崩壊していった。
どうしてそこまで?って思うかもしれないけど、それくらい私たちにとってこまは大切な存在だった。
笑うことも無くなった。しーんとした家。
誰も「新しい犬を飼う」っていう選択肢がなかったから、飼わなかった。
ふと、私は思ってしまった。
こまが帰って来たらなぁ、って。
そう思っていると、こまの鳴き声が聞こえた。
正確に言うと、気がした。だけど。
誘われるように、外に出ようと1歩を踏み出した時。
黄色い光に包まれた。
「やっと、見つけた!」
見つけたってなに…? そう言おうとしたけど、瞼が閉じていく。
チリーンという鈴の音を聞いて、私は意識を手放した。
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